2003年4月5日(土)「しんぶん赤旗」
【ベルリン4日片岡正明】欧州訪問中のパウエル米国務長官は三日、ブリュッセルで欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)加盟国外相、ロシア外相との会談に相次いでのぞみました。会談では戦後のイラク復興問題が焦点になりましたが、国連管理下での復興を主張する欧州側にたいしパウエル国務長官は米英中心を主張し、物別れに終わりました。
会談後の記者会見で、パウエル長官はイラク戦争を始めた米英が「今後も主導的役割を果たす」と強調。またNATOが、平和維持軍などイラク戦争後の役割について検討する姿勢を示したことを評価しました。
一方、フィッシャー独外相は「国連がイラク危機に対処する唯一の合法的な機関であり、蓄積もあるというのが欧州のほとんどの国の立場だ」と述べました。また、戦争が続くかぎり、戦後復興の話はできないという立場を改めて示しました。ドビルパン仏外相も米国の方針を批判しました。
EU議長国ギリシャのパパンドレウ外相は「われわれが国連の重要性について述べたことを米国は認識した」と一定の歩みよりがあったことを評価しました。
英BBC放送によると、ストロー英外相は国連がイラク復興のための国際会議を主催することを提案しましたが、パウエル長官は回答を避けました。
パリからの報道によると、ドビルパン仏外相は四日、パリでフィッシャー独、イワノフ・ロシア両外相と会談し、イラク問題について協議したあと、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世やフラッティーニ伊外相と会談するため、ローマに飛びました。仏外相とローマ法王との会談は極めて異例。同法王は米英のイラク戦争に強く反対しています。