2003年4月5日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 政府が提出している食品安全基本法案で、食品の安全は確保されますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 政府は今国会に「食品安全基本法」案を提出しました。BSE(牛海綿状脳症)問題や一連の食品事件で、日本の食品安全行政の遅れが批判されているのに対応したものです。BSE感染牛事件で農林水産省が産業振興を優先し、同省の食品安全行政の権限を行使しなかった教訓をふまえ、内閣府に「食品安全委員会」を設置し、食品の安全性を統計的にはかる「食品健康影響評価」(リスク評価)を導入します。同時に、食品行政の欠陥を根本的に見直す点では、多くの課題も残されています。
たとえば、安全な食生活が消費者の権利という視点はなく、安全は「関係者がそれぞれの責務や役割を果たすことによって初めて確保される」「権利という位置づけになじむものではない」(谷垣禎一国務大臣)という立場です。そのため、食品関係事業者には安全確保の「第一義的責任」を負わせるのに、国の責任は具体性に欠けるものとなっています。事業者任せで国の監督をおこたった雪印乳業食中毒事件などの教訓をいかし、BSE問題などでも国の補償責任を果たすことが求められます。
また食品安全委員会は、リスク評価以外の権限がほとんどなく、実際の安全行政は農林水産省と厚生労働省が担います。しかしモデルとされる欧州では、食品安全専門の官庁が、リスク評価のほかに幅広い政策権限を行使しています。消費者団体代表の参加が保障されない点も欧州と大きく異なります。
とくに食料の六割を輸入に頼る日本では、アメリカなど輸出国の圧力に屈せず、自給率向上とともに、輸入食品の安全対策・検査体制の抜本強化をきちんと位置付けることも重要です。
日本共産党は、消費者国民が十分に納得できるまで法案を徹底審議し、食品安全基本法がよりよいものになるよう、全力を挙げます。
(博)
〔2003・4・5(土)〕