2003年4月6日(日)「しんぶん赤旗」
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イラクの子どもたちは今…。思いをはせて一万八千人が「今すぐ攻撃をやめて」と、東京・渋谷で開かれた「ワールド・ピース・ナウ4・5」に集まりパレードをしました。次つぎに参加者が増え、パレードの最前列が終点に到着しても、まだ出発できない人たちがいます。一つの輪になりました。
ふきつける雨風。「この雨は戦争を悲しんでいる人の涙かもしれない」。主催者の言葉に、共感の声があがります。
「家にじっとしていられなかった」というのは高校教師の井黒豊さん(43)。娘の苺(まい)ちゃん(8っ)は、「人の命、気持ちを考えない戦争はやめて」と寒さに震えながら話しました。
若者でにぎわう公園通り、青山通り、表参道…三キロのパレードコース。ビニール傘に「NO WAR」が目立ちます。賛美歌が流れるグループ、ロックで踊るグループ、「戦争反対」と叫ぶグループ。インターネットを見て練馬から初参加の男子高校生五人組。耳にいくつものピアスがゆれます。ブルーハーツを歌いながら、「なんで参加したか? 今、この瞬間も理由なく殺されている人がいる。それで十分でしょう」。
バケツをたたく辻コースケ(29)ファミリー。「いつも沿道からジャンベ(太鼓)をたたいていますが、雨でバケツにしました。だれもやめようっていわなかった」
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数珠つなぎのようなデモ。五日、都内で開かれたワールド・ピース・ナウ4・5の参加者は、冬に戻ったような雨にずぶぬれになりながら「イラク戦争をやめさせよう」「ノーウオー」の声を東京・渋谷区の代々木公園から渋谷、原宿駅周辺の大通りに響かせました。
「LOVE AND PEACE」と書いたビニール傘を持って渋谷区役所前から四歳の娘と飛び入りした東京・足立区の見機望さん(42)は「子どもがいますから…。イラクの普通の市民が殺されていることに憤りを感じます。自分で何ができるのかと思って参加しました」といいます。
「パレードにいかないと始まらないという感じ」と顔を見合わせた新宿区の会社員の糸井千晶さんと千葉市の学生、光田康子さん。高校時代の友人でプラカードを持って渋谷駅近くの丸井デパートで雨宿り。「ブッシュは感覚的におかしい。とにかく『いこう』じゃなくて『いかなきゃ』なんです」と糸井さん。
娘の菜々子ちゃん(5っ)と、こいのぼりをもって参加した埼玉・上尾市のケースワーカー、松沢ユカさん(35)。「一人では小さな力でも、数が集まればこの戦争を止めさせることができる。子どもには、まだわからないかもしれないけど、この体験が大きくなって、自分で考えるときに生きてくると思うからと雨のなか連れてきました」
デモ行進する参加者の中には「人を殺すな!」「戦争中止」などの手書きのプラカードや、イラク攻撃で傷ついた市民や子どもの写真パネルをかざす若者や、小さな子の手を引くお母さんの姿も目立ちます。
「最凶最低能のブッシュ」と書いたブッシュ大統領の写真入りプラカードを掲げる予備校教師の深沢勉さん(50)=世田谷区在住=。「人の命を奪う戦争は、いかなる理由でも悪い。絶対にやめさせなければ」といいます。
「僕たちにもできることはないか」という高校生も。ビニールのレインコートの背中に大きく「愛」の文字、雨にぬれないように大切にビニールでくるんだプラカードを持参したのは斉藤祐介くん(15)=東京都日野市在住=。「戦争が始まったとき信じられなかったし、夢であってほしいと思った。テレビをみて『絶対やめさせなければ』と、友達を誘ってきました」と話します。
「僕らが戦争に無関心であってはいけないと思う」という浅野健太くん(15)=神奈川県山北町在住=も八日の集会に続く参加。手づくりのプラカードを持って、同級生や高校の先輩など七人できました。「戦争は絶対やっちゃいけないのに、なぜアメリカは戦争を始めたのか? 結局、犠牲になるのは子どもなど市民です。きょうも一人でも多くの人に戦争のことを考えてもらいたくてきました」と話します。
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「罪のない人々を殺すな」――冷たい雨の中、力強い声が響きました。
五日午後、東京都北区の市民約百四十人が、イラク戦争即時中止をもとめてピースウオーク(主催・同実行委員会)をしました。色とりどりの風船を持ったりプラカードを胸から下げた人が「一緒に、一歩二歩と、歩きましょう」と沿道をいく人によびかけました。
北病院の看護師・青池和恵さん(23)は「毎日、大量の住民が犠牲になっています。命を救う看護師として、戦争をやめさせる取り組みをさらにひろげたい」と話しました。