2003年4月7日(月)「しんぶん赤旗」
サード・シェメッシュさん(36)は、バグダッドの南三十五キロの村で、オレンジやトマトを栽培していた。それが近くを走る石油輸送のための高速道路を狙った爆弾にやられた。
使われた爆弾は対人殺傷用のクラスター爆弾。黄色い筒状の爆弾だったと言っていた。
アフガンのトラボラの山の中で見た黄色いビール缶のような、クラスター子爆弾の絵を描いて見せたら「これだ」と言った。
クラスター爆弾は一発で、約二百の子爆弾をまき散らして、多くの非戦闘員を殺傷するだけでなく、不発弾は対人地雷となる、非人道的な兵器だ。
サードさんの体には爆弾の破片がいたるところに突き刺さっていた。内臓に達した破片は手術して取り出したが、まだたくさん体内に残っているという。
同じ病室に叔父と兄が入院していた。肉親たちが心配して見舞いに駆けつけていた。
サードさんは十歳と十三歳の二人の息子が亡くなったことをまだ知らされていない。さらに叔父や、兄も犠牲になってしまった。羊や牛、犬もやられたという。
(もりずみ たかし フォトジャーナリスト)