2003年4月7日(月)「しんぶん赤旗」
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国内外のサッカー選手たちが、イラク戦争反対のメッセージを発しています。アーセナル、バルセロナといった欧州のビッグクラブの選手たちにとどまらず、その「波」は日本の選手たちにも波及しています。(和泉民郎記者)
日本代表とウルグアイ代表戦(東京・国立、3月28日)の後、こんな光景がみられました。
日本の中田英寿(パルマ)と肩を組んで歩くウルグアイのエース、アルバロ・レコバ(インテル)。ユニホームの下のシャツには「世界平和のために」と、スペイン語でマジック書きされた文字がありました。
スタンドでは日本のサポーターらが「WORLD PEACE」「NO WAR」と書いたボードを掲げ、ハーフタイムには、それを持って歩いて、アピールする様子もみられました。
「試合が展開されている同じ時間に人が殺し合っている。幼い子が命を落としている。当事国は考えてほしい。愛と平和をいま全世界が考えるときだと思う」
試合前日には、日本代表のジーコ監督が戦争反対を訴えていました。
ピッチとスタンドが、平和の思いで結ばれた試合でした。
反戦のアピール、平和を願う声は、世界のサッカー界で、ほうはいと沸き上がっています。
イングランド・プレミアリーグ、アーセナル所属で仏代表のピレスが「スポーツは大切だが、いま世界で起こっていることはもっと重大だ」と語り、「金銭的な利益のために、信条を捨てたくない」と一時、試合出場を拒否するとの報道までありました。同じ仏代表のジダン(レアル・マドリード)も「これは不当な戦争だ。ここにいるときはサッカーのことを考えるが、家ではすべてのことに感じやすくなってつらくなる」と率直な気持ちを表しました。
スペインリーグの名門、バルセロナは23日、選手たちが「バルサは平和を願う」と書いたTシャツを着て、試合前に戦争反対を訴えました。
昨年のW杯得点王で、ユニセフの平和大使でもあるロナウド(レアル・マドリード)は「早く世界が平和な状況に戻ってほしいと思う。僕らは重要な試合には勝てたけど、戦争が行われている限り、勝利を喜ぶことはできないよ」と、率直に心情を語っています。
Jリーグでも、平和をアピールする選手が出てきています。
3月22日の名古屋―清水戦で、ウェズレイ(名古屋)がゴール直後にユニホームをまくり上げ、「PEACE」と書かれたシャツを見せてアピールしました。
「愛」「平和」と自身のホームページに書き込んでいる中田英のように、ホームページで訴える選手も多い。
日本代表の森岡隆三(清水)、元Jリーガーで現在、オランダでプレーする小野伸二(フェイエノールト)、プレミアリーグ・フラムの稲本潤一も、戦争が早く終わることを望む気持ちをつづっています。
これらは「平和」を願うスポーツマンの自然な気持ちの発露です。と同時に、多くの選手のインターナショナルな感覚が、これらの発言を支えている気がします。
その中でイタリア・セリエA、ユベントスでプレーする、チェコ代表のネドベドのメッセージが印象的でした。
「スポーツにかかわっている僕らはこの戦争を望んではいなかった。今こそサッカーにかかわる人たちが反戦に動きだすときだ。そうすれば志を同じにする他の人たちも後に続く」