2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ8日小泉大介】イラクの首都バグダッドに侵攻した米英軍は八日、共和国宮殿の占拠を続ける一方、各地で地上軍の砲撃と空爆を強化、政府機関だけでなく住宅や病院、さらにメディアの事務所やホテルも標的にした無差別攻撃を加えています。
現地から戦争被害の生々しい報道をしていたカタールの衛星テレビ・アルジャジーラのバグダッド事務所が八日午前、米軍ミサイルに直撃されて特派員一人が死亡、一人が負傷しました。また同事務所に隣接するアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ・テレビ事務所も爆撃をうけました。さらに多数の報道陣が滞在し取材拠点にしているパレスチナ・ホテルが被弾し、ロイター通信とスペインのカメラマン各一人が死亡、ロイター記者ら三人が負傷しました。
米軍はホテルから砲弾を受けたので反撃したと述べましたが、英テレビ・スカイニュースの現地特派員は「ホテルから攻撃した形跡はない」と反論しています。
市内は七日のテレビに続いて八日はラジオも放送が停止しています。
米軍は七日にはバグダッド市内の住宅地区にあるフセイン大統領関連施設に地下三十メートルまで貫通する爆弾「バンカーバスター」四発を撃ち込み、市民十四人が巻き添えになり死亡しました。米民間団体「イラク・ボディ・カウント」の調査によれば、七日現在でイラク戦争での市民犠牲者は千七十二人にのぼります。
【アンマン7日岡崎衆史】戦闘が激化するバグダッドでは八日までに、市内の各地で米軍の攻撃にまきこまれる市民の犠牲者が急増。市内の病院は次々担ぎ込まれる負傷者があふれ対処不能な事態も生じています。アンマンで七日記者会見した国連イラク人道調整官事務所(UNOHCI)のウィムハースト報道官は、赤十字国際委員会(ICRC)の情報として、「バグダッドのすべての病院が、負傷者の流入で危機的状況にある」と言明。中心部のヤルモウク病院では、一時間に百人の患者が担ぎ込まれているといいます。