2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
文部科学省は八日、来年春から高校で使われる教科書の検定結果を発表しました。学習指導要領の範囲を超える内容も「発展的な学習内容」として認めましたが、本文の記述とは区別させ、「全員が学習する必要はない」と明記させました。また、アメリカに批判的な記述を書き換えさせる検定意見が目立ちました。
検定はこれまで、文科省の定めた学習指導要領が基準になっていました。今回から文科省は「指導要領は最低基準」とし、それを超える内容も「発展的な学習」として認める方針をとりました。
この結果、理科や数学で「三次以上の関数の積分」「DNAの修復」など指導要領にない内容が大幅に認められました。しかし、指導要領外と見なされた記述には必ず「発展」と明示させ、「必ずしも生徒全員が学習する必要はありません」などの注釈をつけさせました。
全体として検定意見は減らず、編集者からは「結局は細かいところまで指導要領に制約された」との声が出ています。
一方、倫理や政治・経済では、米国に原爆投下の責任があるとした文章が削除され、「自衛隊の海外派兵」が「海外派遣」に書き換えられました。「おごりの目立つアメリカに反省をせまるのも同盟国日本の役割」という記述は「おごりの目立つ大国に…」とされ、アフガニスタンへの「侵攻」という表現が「地上攻撃」に変えられました。
今回対象になったのは主に高校二年で使われる教科書。三百十九点の申請があり、「生物II」二点、「英語I」「英語II」各一点など計六点が不合格になりました。