2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
Q 一般の国民はどうなるのですか?
A 戦争体制に強制的に組み込まれる地方自治体や「指定公共機関」に指定される民間企業の労働者は、「業務命令」によって戦争協力に動員されることになります。
このほか、有事法案の一つである自衛隊法改悪案では、(1)個人の土地や家屋の使用(2)物資の生産、流通、販売などにかかわる企業・業者に対する物資の保管命令、収用(3)医療、土木建築、輸送関係の企業・業者に対する戦争業務への従事命令――がされることになっています。
同改悪案では、自衛隊が軍事作戦で土地などを使用するにあたって所有者が立ち入り検査を拒否したり、企業・業者が物資の保管命令に従わなかった場合の罰則規定まで新たに設けています。
政府は、処罰にあたって「本人の内心は関係ない」とし、「戦争に協力したくない」という思想・信条から命令を拒否しても、行為にもとづいて罰するとしています。
しかも、武力攻撃事態法案は「国民は…指定行政機関、地方自治体又は指定公共機関が対処措置を実施する際、必要な協力をするよう務める」とし、一般国民の戦争協力も定めています。協力の内容は無限定で、どんな協力をさせられるのか分かりません。
政府は、有事への対応は「高度の公共の福祉」だとしており、それへの協力を拒否すれば、戦前のように「非国民」のレッテルをはられることにもなりかねません。
さらに、同法案は「国民の自由と権利」に「制限が加えられる」としています。政府は、権利制限の内容は「個別・具体的に(法律で)規定する」(福田康夫官房長官)としており、個別法で限りなく制限されることになります。
現憲法は、基本的人権の永久不可侵性をうたっています。これを個別法で無限定に制限できるとなれば、「法律の範囲内」でしか国民の自由と権利が認められなかった戦前の大日本帝国憲法となんら変わりません。
政府は、戦争反対の集会やデモ、報道の自由も「公共の福祉に反しない限り」だとし、制限が可能だという考えを示しています。