日本共産党

2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」

介護保険料・利用料軽減へ

住民と力あわせ実現

日本共産党が奮闘

「安心して利用できる制度を」緊急要求


 「安心して老後を過ごせる介護保険にしてほしい」―全国どこにもある住民の願いです。日本共産党は、各地で住民の運動と力を合わせ、介護保険料の値上げをストップさせたり、保険料・利用料を軽減する制度を広げてきました。緊急要求「保険料の値上げは中止し、だれもが安心して利用できる制度を」を発表(二月十三日)。住民の願いの実現、制度の改善の先頭に立っています。


写真

介護保険の改善を求めて大分県別府市と交渉する同市の高齢者問題を考える会の人びと(向う側)

値上げ中止、減免制度を創設

 四月からの介護保険料の見直しにあたって、日本共産党は、国庫負担割合を緊急に5%引き上げて30%にし全国での保険料値上げを中止するよう政府に要求しました。同時に、自治体で積み立てている「介護給付費準備基金」(積立金)の活用など自治体独自の努力を提案し、保険料の値上げをやめさせたり上げ幅を圧縮させました。

 埼玉県では、九十市町村のうち、半分以上の四十九市町村で介護保険料が値上げされませんでした。このうち十二市町村は値下げしました。

 たとえば三芳町では、昨年の三月議会で、日本共産党議員団が町に一億五千万円の積立金があることを指摘し、「被保険者に還元すべきだ」と保険料の引き下げを提案。九月議会では町長から「引き下げを検討する」との答弁を引き出しました。その結果、月二千八百五十円(基準額)の保険料が四月から二千六百円に下がりました。

 町民からは「医療費は上がり、四月からは年金を減らされるというので困っていた。値下げは本当に助かります」(年金生活の女性)など大変喜ばれています。

 介護保険制度が始まってから独自に保険料を減額・免除する制度をつくった自治体は、四百三十一に広がりました。しかし、自治体独自の減免を敵視する厚生労働省のしめつけによって、多くの自治体ではわずかな預貯金があるだけで減免の対象にしないなど条件が厳しく、ごくわずかの人しか適用されていないのが実情です。

 「緊急要求」は「低所得者対策を確立することは、介護保険存続の不可欠の条件であり、ほんらい国の責任」だと指摘。「全国の自治体で、政府のしめつけをはねかえし、真に実効ある保険料の減免制度をつくる」ことをよびかけています。

在宅で暮らせる条件に整備

 内閣府の「介護サービス価格に関する研究会」の報告書(二〇〇二年八月)によると、二〇〇〇年から〇一年にかけて、訪問介護(ホームヘルプ)の利用者数は全体として増えているのに、年収三百万円以下の世帯では25%も減りました。

 こうしたなか、自治体独自の利用料減免制度は、全国の四分の一にあたる八百二十五自治体に広がりました。

 東京都では、九割を超える五十六市町村で独自の軽減制度が設けられました。たとえば昭島市では、昨年六月に提出された「低所得者に対する介護保険の減免制度の確立を求める請願」に対し、日本共産党以外の政党が「市が新たな財政負担をするのは厳しい状況」(公明党)などと反対し、不採択にしました。これにたいし日本共産党議員団は、住民と力を合わせて議会で繰り返し減免制度の実現を要求。今年の三月議会で軽減制度の導入が決まりました。

 武蔵野市では、訪問介護、通所介護、通所リハビリの利用料を所得制限なしで一律3%に軽減しています。「通所リハビリの利用料が3%に抑えられたおかげで、新しくヘルパーさんにも来てもらえるようになった」(八十五歳の男性)など喜びの声があがっています。同市の在宅サービスの利用率は、全国平均を10%も上回っています。日本共産党市議団は、こうした利用料の減免制度を継続するよう、市長に申し入れました。

 介護保険の導入にともなって、市町村が介護サービスへの責任を放棄し、ケアマネジャーや民間自業者に丸投げする事態が主流になっています。「緊急要求」は、自治体が本来の役割を果たし「介護サービスの提供もふくめ、すべての住民が必要な介護・福祉サービスを受けられるようその先頭に立つこと」を求めています。

グラフ

国が責任を果たせば解決可能

 現在、介護保険への国の負担は給付費の25%とされていますが、このうち5%は、後期高齢者(七十五歳以上)の比率が高い自治体などに重点的に配分される調整交付金です。(グラフ左)

 全国市長会や全国町村会は、この調整交付金は国が負担する25%と別枠にして、すべての自治体に最低でも25%が交付されるよう、繰り返し要望しています。国の負担を5%引き上げ30%にすれば、約二千四百億円の財源が確保されます。四月からの保険料値上げ分(二千億円)を上回る金額です。



介護緊急提案の骨子

1、保険料の値上げを中止し、免除・軽減制度を拡充する
 ▽国庫負担の30%への引き上げ
 ▽自治体による積立金取り崩しなど保険料値上げを抑える努力
 ▽厚労省のしめつけをはねのけ、保険料の実効ある免除・軽減制度の確立

2、高齢者が安心して在宅で暮らせる条件を整備する
 ▽在宅サービス利用料の免除・軽減制度の拡充
 ▽短期入所(ショートステイ)の緊急用ベッドの確保
 ▽利用限度額の見直し

3、量・質ともに介護サービス基盤の整備、充実をはかる
 ▽特養ホームなどの計画的な増設、地域の生活を支える基盤整備
 ▽介護職員の労働条件の改善

4、介護・福祉にたいする自治体の公的責任をとりもどす


グラフ

特養ホーム待機者3年で2倍

計画的増設で解消を

 特別養護老人ホームの入所待ちをしているお年寄りは、全国で二十三万人を超えています(日本共産党の児玉健次議員調べ、複数の特養ホームに申し込んでいる人を含む)。介護保険が始まる前の一九九九年十一月時点では、待機者は約十万五千人でした。三年あまりで二倍以上にふくれあがっています。(グラフ右)

 政府は、今後三年間で高齢者人口の1・5%の特養ホームを整備するという基準(参酌標準)を示していますが、この基準では地域によっては特養ホームを減らすことになります。実態に合わない政府の基準ではなく、「特養ホームを計画的に増設し、待機者の解消をはかることが重要です」(緊急要求)。


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