2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
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名古屋刑務所で、二〇〇一年十二月に暴行を受けて死亡した受刑者が、死亡の数カ月前に森山真弓法相あてに書いた情願(不服申し立て)で、非人道的な扱いを訴えようとしていたことが、七日、法務省が提出した資料で明らかになりました。
提出された資料は、この受刑者が情願を申請した際の願書のコピー。二〇〇一年七月二日付で作成され、「この度(たび)の当所における処遇に対し(保護房に四カ月間閉〈じ〉こめた件)他に対し不服があるので情願許可願います」と書かれています。
一日の衆院法務委員会で日本共産党の木島日出夫議員が質問し、法務省は「本人が情願を取り下げ、刑務官立ち会いのもとシュレッダーにかけたため、内容は不明」と答弁。木島議員が資料要求をしていたものです。
死亡当時四十三歳のこの受刑者は、一昨年一月二十六日から五月二日まで連続して保護房に収容されていました。保護房収容中は入浴もなし、夜も電灯をつけっぱなしという非人道的な状況におかれていたことが、国会審議で明らかにされています。
七月と八月には情願提出を申請しますが、二度とも取り下げています。刑務所当局が圧力をかけて封殺した疑いが持たれています。
この四カ月後の十二月、消防ホースからの肛門(こうもん)部をめがけた高圧放水によって直腸裂傷をおう暴行を受け、死亡。
情願がまともに取り上げられ、対応されていれば、暴行死を防げたと考えられます。