2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
【パリ8日浅田信幸】国連の決議もなく開始され、市民に多大な被害をもたらしている残虐無法な戦争を続けているブッシュ米大統領とブレア英首相は八日、北アイルランドのベルファストで共同記者会見し、不法な戦争行為を「解放戦争」だと正当化しました。
ブッシュ大統領は「イラクに新しい夜明けが始まり、世界は連合(米英)がこの国にもたらす解放と人道援助の証人だ」と強調しました。
首脳会談は、イラクの戦後「統治」問題をテーマに開かれたもの。違法な戦争への国際的な批判を前に、両首脳とも「イラク人民のため」と繰り返しました。
復興問題でブッシュ氏は、“軍事占領”状態から「可能な限り速やかに、統治の責任を、国内外のイラク人によって構成される暫定的統治機構のもとに移す」と発言。ブレア首相も「イラク人によるイラク人のための政府」への早期の移行を強調しました。しかし、その期間や米英軍の位置づけは明確にしませんでした。
また復興における国連の役割について、ブッシュ大統領は「不可欠の役割」としつつ、事実上人道援助に限定する意向を明らかにしました。
【ワシントン8日坂口明】ベルファストで開かれた米英首脳会談後の共同記者会見でブレア英首相は、「これは本当に解放戦争であり征服戦争ではなかった」と述べ、米英両国によるイラク侵攻が「解放戦争」だと美化、正当化しました。
「解放戦争」とは、宗主国・英国の支配を米国が打破したように、ある民族が自分自身の力でたたかい独立を達成する戦争です。今回の戦争が、たとえ独裁政権であれ、独立を達成したイラクを統治してきた政権を外部から武力で打倒する違法な「征服」戦争であることは、戦争の経過そのものが証明しています。
会談の焦点とみなされてきたイラク戦後占領に関しては、国連が「死活的役割」を果たすとの言葉で一致しただけ。当面設置される暫定統治機構の人選や米英占領軍との関係など具体的中身は何も示されませんでした。国連の役割でブッシュ大統領が例示したのは「食料・薬品供与」など人道援助だけでした。
同氏に同行したパウエル国務長官は七日、暫定統治機構設置のために米要員が今週中にイラク入りすると述べました。戦後構想で戦争推進の連合相手とさえ一致がないもとで米国は、米国の単独軍事占領構想の具体化を着々と進め、既成事実を積み重ねようとしているのです。
米国が単独軍事占領に固執するのは、米国のイラク攻撃の目的が、大量破壊兵器廃棄や国際テロ根絶、イラクの真の民主化とは無縁な、石油資源を含むイラク征服にあることを示しています。
米保守派のご意見番として知られるウォール・ストリート・ジャーナル紙社説(七日付)は、フセイン政権打倒後のイラク支配に国連が関与すれば、安保理が実施する石油・食料交換計画によりフランスやロシアがイラクの原油管理に口出しすると「警告」。仏ロ両国はじめ諸外国を関与させないために、「国連にイラクの石油から手を引かせることが重要だ」と強調しています。