日本共産党

2003年4月9日(水)「しんぶん赤旗」

製造業解禁や期間延長が狙われる派遣労働とは


 〈問い〉 いま製造業での解禁や派遣期間延長の法案が出ている、派遣労働にはどんな問題がありますか。(三重・一読者)

 〈答え〉 派遣労働とは派遣元と雇用契約を結んだ労働者が「レンタル商品」のように派遣先に貸し出され、その指揮・命令下で働く労働です。派遣先は派遣労働者の雇用や賃金・労働時間、社会保険加入などに直接責任を負わず、使いたいとき使いたいだけ働かせます。労働者は契約期間中にやめれば派遣先・派遣元双方から賠償請求されかねないなど、地位はきわめて不安定です。

 この雇用形態は、戦後の経済民主化で禁止されたものです。一九四七年の労働基準法の中間搾取(六条)、職業安定法の民間営利職業紹介(三二条)・労働者供給事業(四四条)などの禁止規定にあたり、罰金や懲役となる犯罪でした。

 しかし八五年の労働者派遣法制定と職安法などの改悪で、一定業種で派遣事業が公認されました。九九年には港湾・建設・警備をのぞき派遣事業が原則自由化(製造業は付則で「当分の間」原則禁止)され、営利職業紹介も一部をのぞき解禁されました。ただし、一般の派遣労働は「臨時的・一時的」とし、派遣期間の上限は一年でした。

 今年政府が提出した職安法・労働者派遣法の改悪案は▽製造業の派遣労働を解禁(派遣期間の上限一年)▽一般の派遣期間の上限を、一年から三年に延長▽これまで三年が上限だった、特殊で専門的な二十三業種の派遣期間の上限を撤廃―などを盛っています。

 製造業は労働者が最も多く、現場の指揮・命令が生命や身体に直接影響することも多い業種です。派遣労働を製造業にまで解禁すれば、すでに「請負」の名で脱法的に行われている正社員の不安定雇用への置き換えが大規模化し、安全衛生対策も後退して労災多発を招きかねません。他業種の派遣期間延長や上限撤廃も、不安定雇用への置き換えと労働者の「使い捨て」を加速するものです。(清)

 〔2003・4・9(水)〕


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