2003年4月10日(木)「しんぶん赤旗」
イラクの占領支配を狙い首都バグダッドを事実上支配下に置いた米軍。米軍戦車の砲撃で犠牲者を出したロイター通信は、八日のバグダッド現地の状況を次のように伝えています。
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米軍機、戦車、大砲がバグダッド中心部の政府施設を狙って、爆撃、砲撃を次々に浴びせています。「雨あられのように爆弾が降り注いでいる」―後に米軍戦車に砲撃されるパレスチナ・ホテルの高層階から、女性記者サミア・ナフールが叫びます。戦争開始から二十日目の八日、空爆の半分は情報省、国営テレビ、アルジャジーラ衛星テレビのある地域に集中しました。
チグリス川西岸の大統領宮殿に構えた前線基地から、ごう音を立てて進む米戦車隊。市中心部支配を目指し、一両が橋を渡って東岸へ。
攻撃で負傷した民間人を乗せた救急車が病院に駆け込みます。外科医が二十四時間ぶっ続けで働いていますが、麻酔薬、縫合糸、静脈注射薬などの医薬品、資材が尽きつつあります。
「各病院に何人運ばれているかチェックもできない。膨大な数の民間人犠牲者・被害者がいるのは確かだ」「やけどや頭部をやられた被害者の緊急手術用の医薬品・資材が限界に達しつつある。戦争開始以来、国境を越えてバグダッドに到着したものは何もない」と世界保健機関(WHO)のシンプソン報道官。負傷者はうつろなまなざしで座り込んだままです。
市中心部から約十キロの郊外では、米海兵隊員が一軒一軒しらみつぶしの家宅捜索。彼らが「都市部地域軍事作戦」(MOUT)と呼ぶ残存兵掃討作戦です。
ドアを蹴(け)破り、M16ライフルの台尻で窓ガラスを壊して押し入り、質素な家屋の各部屋を調べ、階段を駆け上がり、汚水でいっぱいの浄化槽の中までのぞき込む海兵隊員。
「都市部では危険は十倍になるんだ」―指揮官が怒鳴ります。
ほとんどの家屋はもぬけの殻ですが、居たというだけで直ちに包囲。二人のイラク人が首根っこを押さえられ、腕をねじ上げられて連れ出されてきました。有無を言わせず、有刺鉄線でつくられた輪の中に押し込められました。