2003年4月11日(金)「しんぶん赤旗」
Q 北朝鮮の「脅威」があるから有事法制が必要という主張もありますが…。
A 昨年九月に日朝間で結ばれた「日朝平壌宣言」は、核やミサイルなど安全保障上の問題について、「対話」で「解決を図る」と明記し、「互いの安全を脅かす行動をとらないこと」を確認しています。
北朝鮮の「脅威」を口実に有事法制をつくることは、こうした問題の平和的解決どころか、両国間の緊張をいっそう拡大し、軍事的な対抗措置の悪循環を生み出すことにつながります。平和に役立たないばかりか、逆にアジアと日本の平和を脅かすものです。
イラクへの侵略戦争をすすめるブッシュ米政権は、イラクだけでなく北朝鮮も「悪の枢軸」と名指ししています。昨年九月の米国家安全保障戦略では、大量破壊兵器の保有を目指す国家やテロ組織に対し先制攻撃も辞さない方針を明確に打ち出しています。
有事法制ができれば、こうした米国の先制攻撃に、自衛隊だけでなく自治体や民間企業、国民を総動員する仕組みがつくられることになります。
小泉内閣と自民、公明など与党は、米国のイラク戦争を全面的に支持しています。有事法制がつくられたもとで、米国が北朝鮮に対してもイラクと同様、先制攻撃を始めれば、今度は支持にとどまらず、日本が国をあげて無法な戦争に参戦する危険があるのです。
北朝鮮が国際的な無法行為をおかしてきた国であるなら、なおさら、日本は理性と道理にたって、話し合いによる平和的解決に努力すべきです。