日本共産党

2003年4月11日(金)「しんぶん赤旗」

都市で残虐兵器「実験」

イラク戦争


 米英軍はイラクに対する無法な先制攻撃戦争で最新鋭の各種「改良」破壊兵器、残虐兵器を使い、民間人に多大の犠牲を強いる悲惨な状況をつくりだしています。人口五百万人の首都バグダッド、百五十五万人のバスラを含む諸都市が戦場とされ、米英軍の攻撃は、この新たな状況下で圧倒的な力を誇る兵器群の効果を検証する「実験場」の様相も呈しています。

 七日、バグダッド・マンスール地区の住宅街にあるレストランに「バンカーバスター」四発が撃ち込まれ、あたり一帯は十五─十六メートルの大穴と化しました。フセイン大統領と息子らイラク政権幹部の殺害を狙ったものだといいますが、市民十四人が巻き添えになり死亡しました。

 バンカーバスターは地下ごう破壊用の超大型爆弾。普通の地面なら地下三十メートルまで、コンクリート壁でも五─六メートルまで貫通し、奥深く突入してから爆発するもので、開戦直後にも大統領宮殿に対して使用されています。

核兵器に次ぐ力

 二日にロイター通信記者が南部クト付近で巨大なきのこ雲を目撃し、同行の米海兵隊員がそれは「デージーカッター」BLU82(重量六・八トン)だと証言している大型爆弾や、三月に実験成功が報じられたMOAB爆弾とともに、バンカーバスターは核兵器に次ぐ破壊力を持つといわれます。デージーカッターは広範囲に生物や物体を激しい爆発音とともになぎ倒し、そこを真っ平らにしてしまう残虐な兵器です。

 四日、米英軍はバグダッドや南部モスルで「クラスター(集束)爆弾」を投下し、市民計二十六人が死亡。サハフ・イラク情報相は三日にもバグダッド・ドゥーリ地区の住宅街で同じ爆弾が投下されて十四人死亡、負傷者六十六人と発表。南部ヒラの医師も二日にクラスター爆弾で三十三人死亡、六十六人が負傷したと証言しています。

 さらに米軍は一日、装甲破壊能力の高い千ポンド(四百五十四キロ)級の新型精密誘導クラスター爆弾CBU105をイラク戦車群に初めて使用したと認めています。

 クラスター爆弾は多数の子爆弾を内包し、広い範囲に散布する親子爆弾。二百個以上の子爆弾を収容し、着弾後もすぐには全部破裂せず、残った子爆弾に人が触れると爆発する「地雷効果」を持つクラスター爆弾も登場しています。

 米軍がヒラで使用したBLU97ABはジュース缶サイズの二百個を超える子爆弾がサッカーのピッチ二面分に散らばり、少なくともその5%が不発のまま残って「対人地雷」になると、アムネスティ・インターナショナルは指摘。国連児童基金(ユニセフ)報道官もその割合は10─15%に上ると憂慮しています。「対人地雷全面禁止条約」にも違反する「無差別殺傷の非人道兵器」であり、「国際条約で禁止すべきだ」との声がユニセフをはじめ国際的に上がっています。

半数がはずれる

 米英軍はすでに「精密誘導弾」を一万発以上、「トマホーク巡航ミサイル」は開戦後約二週間で七百発以上をイラクに撃ち込んでいます。

 トマホークも全地球測位システム(GPS)誘導爆弾も「命中誤差約十メートル」といいますが、半数が目標から半径十メートル以内に着弾することを意味する専門用語です。半数ははずれ、サウジアラビア、トルコ、イランに落ちたトマホークもあります。

 米軍当局は三月二十六日、戦車等の装甲破壊能力の高い「劣化ウラン弾」の使用を事実上認めています。爆発・燃焼時に拡散するウランの微粒子が人体に入った場合、がんや白血病になる恐れや、環境破壊が憂慮されている爆弾です。

 米陸軍の劣化ウラン弾専門家らはすでに開戦前の三月十四日、同弾でイラク軍戦車を攻撃する計画だと明言、M1A戦車の砲弾とA10攻撃機の30ミリ機関砲弾に劣化ウランが使われていると述べました。先週末からの首都侵攻作戦で先陣を切ったのはM1Aエイブラムズ戦車でした。(居波保夫記者)


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