2003年4月11日(金)「しんぶん赤旗」
【カイロ10日小泉大介】イラクを侵略する米軍が九日、首都バグダッド全域を支配下に置き、事実上フセイン政権が崩壊したことをうけ、周辺のアラブ諸国はあいついで見解や立場を表明しました。
アラブ連盟はこれまで、米英によるイラク戦争を侵略戦争とする立場を明確にし、即時停戦を求めてきました。今回のフセイン政権崩壊をうけ、占領軍の早期撤退とイラク国民自身による新政権の樹立を求めるとともに、国連が中心になって暫定措置の役割を担うよう求めています。
エジプトのムバラク大統領は九日、国営中東通信で談話を発表し、「われわれは(米軍がバグダッドを侵攻した)二日間、イラク国民の悲惨な状況を目撃してきた」「イラク国民は可能な限り早く自らの手でイラクを統治しなければならない。それが安定を確保するために最も早道となる」と強調しました。
同国のマーヘル外相も同日記者会見し、軍事によるイラクの体制転覆に反対する立場を繰り返したうえで、イラク国民自身が自らの政府をつくる意義を強調しました。
サウジアラビアのサウド外相は九日記者会見し、米軍の占領がすみやかに終了するよう訴えました。リヤドからの報道によると、同外相は、「イラク国民みずからの統治の道が開かれなければならず、米軍の占領は可能な限りすみやかに終了されなければならない」「われわれはイラクが国民によって統治されたときに初めて国家として対応する」と述べました。
同外相はまた、「イラクにおける安全の崩壊、混とん、窃盗と略奪の増加を懸念するとともに、この状況が人道的な惨事に至りかねないことを警告する」と強調しました。ヨルダンのムアシェル外相は九日、外国通信社に対し、イラク国民が自らの指導者を選ぶべきだと述べると同時に「イラクの治安崩壊は深刻な影響をもたらす」と警告し、一刻も早い治安回復を訴えました。
バーレーンのハマド国王も国営通信にたいし、「イラク人に自らの意思を表明する機会を与えなければならない」とのべ、クウェートのモハメド外務担当国務相は外国テレビのインタビューで「イラクの新政権が樹立されるまでは国連に主要な役割が与えられるべきである」と強調するとともに、イラク国民による自治の重要性を訴えました。