2003年4月12日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ11日小泉大介】イラク全土制圧を狙う米英軍は十一日、イラク第三の都市、北部モスルを制圧、十日にクルド人武装勢力が確保した北部の油田地帯キルクークもほぼ支配下におきました。また、南部ナシリアの検問所では十一日、米海兵隊が民間人の車を銃撃、子ども二人が死亡、九人が負傷しました。米側は「自爆攻撃」と弁明しましたが、車からは武器は発見されていません。
モスル制圧は米軍の援護を受けたクルド人武装勢力によるもので、イラク軍兵士は武装を解いて戦線を離れたといいます。
首都バグダッドでは十日以降もイラク側残存部隊の抵抗が続くとともに、略奪が激化し、無政府状態の様相を深めています。
一部暴徒化したイラク人による略奪行為はバグダッド全域におよび、政府関連施設だけでなく、国連事務所、各国大使館施設、一般の商店街や家屋にも及び、商品や家具などを奪うとともに、放火する事態も。米軍の取り締まりは限定的で、商店や民家はみずからバリケードを築き自衛するしかない状況となっています。
略奪はさらに、米軍の爆撃で負傷した人々の治療にあたる病院や医療機関まで対象となり、ベッドや医薬品などを持ち去っています。ここでも米軍は「命令が出ていない」と取り締まりを拒否しています。国連は「占領軍がただちに、人道支援が可能となるよう法と秩序の回復措置をとるべきだ」(国連難民高等弁務官事務所)と要求、米軍の責任が厳しく問われています。