日本共産党

2003年4月12日(土)「しんぶん赤旗」

イラクの次狙う米新保守主義者

“第四次世界大戦の序曲”

一次、二次より長く続く


 【ワシントン10日坂口明】バグダッド中心部が米英軍に制圧されたことを受け、ブッシュ米政権の保守派首脳らは九日、シリアやイランの名を挙げ「中東民主化」戦争の拡大を強く示唆しました。その背後には、イラク侵攻を今後何年も続く「第四次世界大戦」の序曲とみなす新保守主義者(ネオコン)の策動があります。

名指しで威嚇

 ボルトン国務次官は同日のローマでの記者会見で、シリア、イラン、北朝鮮を名指しして「大量破壊兵器追求が各国の国益のためにならないという適切な教訓をイラクから引き出すよう希望する」と述べました。

 同次官は、「(米国に対して)「悪い記録をもっている諸国からの脅威」への対処では、「何も排除しないのが米国の政策だ」と威嚇。「それは侵略や武力行使を積極的に熟慮していることを意味しない」としながらも、軍事侵攻も排除しない姿勢を示しました。

 ラムズフェルド国防長官も国防総省での会見で、シリアはイラクを軍事援助していると重ねて非難。「米国は今はまだイラクを処罰している」が、今後シリアにどう対処するかは同国の「行動次第だ」と語りました。

テロを口実に

 チェイニー副大統領はニューオーリンズで演説し、「イラクからテロ政権を除去することにより米国は、テロと罪のない人への暴力を働く全集団に対し、米国にはテロ戦争をたたかって決定的に勝利する能力と意思があるとのメッセージを送っている」と豪語しました。

 ネオコンのセンターとなっているシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のM・リディーン氏はカナダ紙ナショナル・ポスト七日付で、「米国はイラクで軍事史の例外的な一ページを書いたが、それを自殺的な政治的失策で白紙に戻すことはできない」とし、イラク政権打倒に続き今こそイランやシリアの政権打倒をとあおっています。

 同氏は「イラン国民は現政権を公然と嫌っており、米国が支持しさえすれば熱中して政権と戦うだろう」とし、政権打倒の作戦が「顕著な成功」となる可能性は高いと指摘。「カブール、テヘラン、イラクで専制政権を倒す民主主義革命が成功すればシリアが孤立していることはできない」と述べ、イランの後はシリアだと提言、それこそが「米国の革命的伝統を最も十分に表現する道だ」と語っています。

 同氏はイラク侵攻開始後のAEIの会合で「米国民は戦争好きな国民だ」と公言しました。

 またウルジー元中央情報局(CIA)長官は同会合などで、現在の戦争は「冷戦」という第三次世界大戦に続く「第四次世界大戦」だと規定。新大戦はイランの宗教指導者、イラクとシリアのファシスト、アルカイダのようなイスラム過激派の三つを敵とし、「第一次大戦や第二次大戦より長く続くだろう」と予測しています。


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