日本共産党

2003年4月13日(日)「しんぶん赤旗」

牛島税理士訴訟最高裁判決とは?


 〈問い〉 団体献金の違法性を認めた、牛島税理士訴訟最高裁判決のことを聞きましたが、どういう判決ですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 牛島税理士訴訟とは、税理士会が会員から政治献金を強制徴収することの違法性を問うた裁判です。一九七八年、熊本・大分・宮崎・鹿児島各県の税理士が加入する南九州税理士会は、自民党などへの献金のため、会員から五千円の特別会費を徴収することを総会で決議しました。同税理士会に所属する牛島昭三税理士がこの徴収を拒否したところ、税理士会は牛島氏から、会役員の選挙・被選挙権などをはく奪しました。牛島氏はこの処分取り消しと損害賠償などを求め、八〇年に提訴しました。

 地裁は牛島税理士の主張を認めましたが、高裁がこれを逆転させ、税理士会の決定・処分を追認しました。しかし、最高裁判所は一九九六年、強制加入団体の政治献金を違法とする判決を下し、審理を福岡高裁に差し戻しました。九七年、南九州税理士会が牛島氏に謝罪し、政治献金を今後一切おこなわないこと、過去に納入した全会員の特別会費を返還することなどの和解が成立しました。

 九六年の最高裁判決は、税理士会が法による強制加入団体であることに着目し、このような団体による政治献金は、税理士法で定めた税理士会の目的範囲外の行為となり無効だとしました。このことは、同じような強制加入団体である司法書士会、行政書士会などにも直接影響を及ぼします。現在、同様の裁判が各地であいついでいます。

 また判決理由の中で、政党などへの寄付は「選挙における投票の自由と表裏を成す」ものであり「市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄である」と指摘している点は、重要な意義をもちます。献金が個人の政党選択の権利と不可分であることを重視すれば、この権利を侵害する企業献金や政党助成金の違法性も問題とならざるを得ないからです。(水)

 〔2003・4・13(日)〕


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