2003年4月13日(日)「しんぶん赤旗」
【モスクワ12日北條伸矢】フランスのシラク大統領、ドイツのシュレーダー首相、ロシアのプーチン大統領は十一日、ロシア北部・サンクトペテルブルクで会談し、国連中心のイラク復興などで合意しました。国連の枠内での問題解決を主張してきた三カ国首脳が一堂に会するのは米英のイラク攻撃開始後初めて。共同会見では、米英との直接対立は避けながらも、「イラク攻撃に対するわれわれの立場は変わっていない」(プーチン大統領)など、三首脳は戦争が違法で国際法を脅かすものだと批判しました。
仏大統領は「イラクの戦後復興では国連が中心的役割を果たすべきだ」「国連だけが危機を管理する長期の経験を有し、民主主義を尊重できる」と発言し、米英だけではなく、多極的な方式による復興を強調。ロシア大統領も、人道問題に対する責任が占領主体の米英にあるとの認識を示しながら、「国連憲章に基づく問題解決」を主張しました。イラク新政権に関しては、独首相が「国連の保護下で樹立すべきだ」と指摘しました。
武力による政権転覆に関連して、ロシア大統領が「政権交代は国内からの推進力によるべきだ」と批判。「各国に共通する民主主義のひな型というものはなく、それをどの国も同列に扱うなら八割の国の改革が問題になる可能性がある」と述べ、「戦争による民主化は最悪の選択肢だ」と語りました。
プーチン氏はまた、軍事行動の目的とされた大量破壊兵器の発見と廃棄は達成されておらず、国連査察団の活動再開が不可欠だと言明。「何のために戦争をし、何を達成したかったのか?」と問いかけ、たとえ査察団以外の者が大量破壊兵器を「発見」しても法的効力はないとの見解を示しました。
また米国が対イラク債務の減免を仏独ロに求めている問題では、「検討の用意がある」(ロシア大統領)としたものの、「イラクにはまだ合法政権が存在せず、検討は時期尚早だ」(独首相)という発言もありました。