2003年4月16日(水)「しんぶん赤旗」
|
いっせい地方選前半戦が終わったのを受けて、有事法案をめぐる動きが急展開しています。
「今月内の衆院通過が方針」(中川秀直・自民党国対委員長)だとする自民、公明など与党は、週内にも審議入りをねらい、国会内外の攻防が激しさを増しています。有事法案は、米国の海外での戦争に日本が本格的に参戦し、自治体や民間企業、国民を強制動員するもので、これを許すかどうかは、いっせい地方選の後半戦でも問われることになります。
与党は、十八日に衆院有事法制特別委員会を開き、有事法案で同法施行後二年以内に整備するとしている「国民保護法制」の「骨子」について政府が説明し、質疑を行いたいとしています。十七日に理事会を開き、協議します。
また、同委員会の鳩山邦夫委員長は十五日、民主党が有事法案の対案づくりに向けて党内協議を始めたことについて「与党側と民主党の話し合いが順調にいき、今国会で成立することが望ましい」と表明。小泉純一郎首相も同日、「(国会での)議論を見ながら良い案を取り上げていけばいい」と述べています。有事法案は昨年、廃案を求める国民世論と運動によって、二度の国会にわたり継続審議になってきました。同法案の反対・慎重審議を求める地方議会の意見書は六百十五議会にのぼり、廃案を求める署名は五百二十四万人分に達しています(安保破棄中央実行委員会まとめ)。
有事法制ができれば、自治体は、米軍や自衛隊への支援が強制されるだけでなく、政府の手足となって国民を動員し、統制する役割も担わされることになります。
日本共産党は「米国がイラクで先制攻撃戦略を本格的に発動しているもとで、イラク型の先制攻撃の戦争に日本が加担し、国民がむりやり協力させられる重大な危険が現実のものとなってくる」(志位和夫委員長)と指摘。「国会でのたたかいとともに、いっせい地方選挙でこのくわだてを許さない審判を」(同)と訴えています。