2003年4月16日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントン14日山崎伸治】米政府首脳はイラクの隣国シリアに対して一斉に非難を展開し、制裁措置までちらつかせてどう喝しています。米政府の非難はシリアがテロ活動を支援し、化学兵器を開発し、イラクのフセイン政権指導部をかくまっているというもの。米国の強硬姿勢に国際社会から強い懸念と批判がおきています。
パウエル米国務長官は十四日、クウェートのサバハ外相との会談後、「(シリアは)自分たちの行動や態度を見直すべきだ。それは、シリアにだれが避難しているか、および大量破壊兵器やテロ活動の支援についてもだ」と強調。「米国は外交的、経済的その他可能な措置について今後検討する」とのべ、制裁の可能性を明言しました。
ラムズフェルド国防長官は同日、ペンタゴンで記者団に対し、「われわれは過去十二〜十五カ月にわたり、シリアでの化学兵器実験を確認している。シリアは自国民その他がイラクに越境するのを容認している。彼らは武装し、米国と連合軍の兵士を殺せば報酬が与えられると書かれたリーフレットをもっている」とのべました。
ホワイトハウスのフライシャー報道官も同日の記者会見で、「シリアは事実、ならずもの国家だ」と決めつけました。
ブッシュ大統領は十三日、ホワイトハウスで記者団に対し、「シリア政府に必要なのは、米国と連合軍参加国に協力し、(イラクの)バース党員や軍幹部、在任期間中の責任者をかくまわないことだ」と要求。「シリアには化学兵器があると思う。先のことを先にやる。われわれはいまイラクにおり、次はシリアで、われわれは協力を期待している」とのべました。
【ロンドン15日西尾正哉】英紙ガーディアン十五日付は、ラムズフェルド米国防長官が数週間前にシリアへの戦争計画の準備を命じていたと報じました。同紙は、この戦争計画は、二〇〇四年に大統領選挙を控え、イラクとアフガニスタンの復興に直面するブッシュ大統領が拒否したと伝えています。
同紙によると、ラムズフェルド長官はバグダッド陥落に続き、シリアへの戦争を準備するように命じていたといいます。ファイス国防次官らがシリアへの戦争準備の文書を作成、シリアがイラクのフセイン政権へ武器を供給し、中東のテログループとつながり、化学兵器を開発しているなどと述べていたとされます。