2003年4月16日(水)「しんぶん赤旗」
四月十三日ふたたびバグダッドに入った。先月末イラク政府によって強制国外退去させられてから、約二週間。ヨルダンからの道中は米軍が完全にコントロールしていた。
そのため市内にも、南側の一部からしか入れない。しかも米軍の検問があるため、日没二時間前にはバグダッド郊外に到着していないと、日が暮れてから市内入りすることになり、危険だ。
シェラトン、パレスチナといった大きなホテルはマスコミで満杯で、すでに部屋はなかった。依然停電しているがたいていのホテルが朝夕は自家発電で電気を供給しているという。
治安はホテルの周辺は安全だが、それ以外の地域は一人で出歩かない方がよさそうだ。タクシーで一回りしたが、何が起きても不思議でない雰囲気が、街中に感じられた。
パレスチナホテルでも、隠れていたムジャヒディンが米軍に発砲するという事件が起きた。しかしこれはメディア用に作ったシーンだと思う。米軍が事実上制圧しているホテルに隠れていられるはずがなく、私にはかなりショー的に見えた。
私が宿泊するホテルは一泊二十五ドルだが、ここでも朝夕は、電気が通じ、温水シャワーも浴びられる。食事は外食だが、果物も含めて市場ですべて買える状態だ。
カメラやパソコンなどの充電は可能で、問題なく動くが、インターネットが回復していないので残念ながら写真は送れない。
十三、十四日はバグダッドから百キロあまりのところにある村を訪ねた。米軍のアパッチヘリは飛んでいるが、戦争している雰囲気はまったくなく、村の人たちは肉料理まで出して歓迎してくれた。
英語が話せるタクシー運転手は「米軍はなにもかも壊した。何ももたらしてくれなかった」と、言っていた。彼らががっちり守っているのは石油省だけ。あとは略奪のし放題だ。歓迎した市民もそろそろ反発に転じるように私には思えた。(十四日)(フォト・ジャーナリスト)