2003年4月18日(金)「しんぶん赤旗」
学校施設の耐震化について、新耐震基準施行の一九八一年以前に建築された施設のうち、どれから優先的に耐震診断を行うかを判定する簡易な「耐震化優先度調査」の実施を、文部科学省の協力者会議(主査・岡田恒男東大名誉教授)が十五日の最終報告で提言しました。同省は今年度から耐震化推進計画策定のモデル事業を新たに実施します。
同省調査によると、八一年以前建築の公立学校の七割で耐震診断が済んでいません。対象施設が多く、本格的な診断が一件数百万円かかるため、限られた予算でどう診断や耐震化工事を進めていけばよいかが課題となっていました。
優先度調査は、対象建物を建築年と階数で五つに分類。コンクリート強度や老朽化の状況、当該地域の想定震度などを加味し、優先度を上方、下方修正します。調査は特別な資格がなくとも技術系職員であれば可能で、費用も一件十万円前後。
最終報告では、自治体にも耐震化推進計画策定のための検討組織設置を求めました。
昨年六月、「公立学校施設の耐震性の確保」を求める質問主意書を日本共産党八人の議員名で、小泉首相に提出しました。その後文部科学省は、全国の都道府県に対して、小中学校の六万二千百八十九棟の耐震診断を行う計画を作成させました。今回の報告書で、耐震化の際に、国庫補助もつく通常の耐震診断では数百万円もかかるため、十万円くらいの経費で済む簡易診断をまず行い、問題があれば、さらに、本来の耐震診断を行って、耐震化を行おうというものです。今回の簡易診断費用も国が負担し、耐震診断と耐震化を早期に行うことを政府に対して引き続き求めていきます。