日本共産党

2003年4月19日(土)「しんぶん赤旗」

米「復興人道支援室」に職員

政府 今月中の派遣を発表


 川口順子外相は十八日、米国防総省の「復興人道支援室」(ORHA)に、外務省などの政府職員ら四、五人を早ければ四月中に派遣すると発表しました。

 派遣要員は、外務省などの関係省の幹部のほか、民間人も加える方向です。

 派遣は外務省設置法を根拠とし、同省職員の身分での出張扱いとし、同省以外の職員と民間人は、事前に外務省に出向か採用の形式をとるとしています。期間は数カ月程度となる見通しです。

 川口外相は記者会見で「日本として適切に力が発揮できる分野に人を送る。早期に実施することで、イラクの復旧、復興に協力することが重要だ」と述べました。

 福田康夫官房長官は同日の会見で、「(イラクの復興で、重要な役割を果たす復興人道支援局への文民派遣を通じて、)復興過程に初期の段階からかかわるとともに、我が国の考え方をできるだけ反映していきたい」と述べました。


解説

無法な侵略・占領への加担

 イラクで現在進行している事態は、米英軍による無法な侵略戦争のうえに、無法な軍事占領を始めようというものです。「復興人道支援室」(ORHA)は、米中央軍司令官のもとで米退役陸軍中将が率いる米国防総省の軍事占領組織にほかなりません。

 米国は、占領状態下で米軍が勝手に指名した構成員による「イラク暫定統治機構」(IIA)を発足させようとしています。米国が軍事占領をてことして、民族自決権をふみにじって自分の気に入る政権を押しつけるというこのやり方は、新しい植民地主義というべきもので、イラク国民および国際社会との矛盾をいっそう深刻にする暴挙です。

 こうした軍事占領機関に日本政府が職員を派遣することは、無法な侵略戦争とそれにもとづく占領統治への新たな加担を意味するもので、平和主義を定めた憲法九条のもとでは認められません。

 政府は従来、「交戦国が国際法上有する権利としての交戦権は憲法上否定されている(憲法九条二項)」「占領行政は交戦権の一種だ」として、他国を占領することは憲法上認められていないとの立場をとってきました。このことに照らしても、占領行政への参加が認められないことは当然です。

 福田康夫官房長官は十八日の記者会見で、「(ORHAが)アメリカの国防総省の組織で、国際的な機関ではないということで、(職員派遣には)国内にも批判がある」との質問に対し、「文民部門と軍事部門と明確に切り分けている。イラク国内の文民部門活動を総括する機関であり、復興にあたりこの機関との連携はいろいろ考えていかなければならない」と述べました。

 しかし、軍事占領組織の内部でどのような役割分担がされたとしても、各組織の活動が軍事占領行為の一部であることに何の変わりもありません。“文民活動への協力だから問題はない”などという弁解が成り立つ余地はまったくありません。

 (中祖寅一記者)


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