2003年4月19日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン18日坂口明】ラムズフェルド米国防長官は十七日の国防総省職員との会合で、ブッシュ米政権がフセイン政権の大量破壊兵器保有・開発をイラク侵攻の最大の口実としてきたにもかかわらず、イラクで大量破壊兵器を発見するのは困難だとの無責任発言をしました。
同長官はイラクの大量破壊兵器に関し「米国が何かを発見するとは思わない」と言明。「今後起こるのは、どこに行けば(同兵器が)見つかるかを教えてくれる人を発見するということだと思う」「(国連)査察官も何も発見しなかった。米国が見つけられるか疑わしい」などと、述べました。
同氏は今後、化学・生物兵器が発見されても“米国のでっち上げだ”と非難される可能性があり、それを避けるため「米国にできることはほとんどない」と発言。侵攻の口実とした疑惑の証拠さえ示せずに侵略戦争を強行したことから生じる矛盾を事実上認めました。
米国は、イラクに対する経済支配の確保のため国連安保理による対イラク経済制裁の解除を求めています。そのためにもフセイン政権の大量破壊兵器保有・開発を裏付ける証拠を提示する必要があり、国連による査察再開を拒否する一方で、米独自の兵器査察に元国連査察官の協力を得ようとさえしています。
この点に関連して国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は同日、英BBC放送に対し、米国が発見した物の国際的信頼性を確保するためにも国連査察官の役割が必要になるとの見方を示し、国連安保理が認めれば「査察官は二週間以内にイラクに戻ることができる」と述べました。