2003年4月20日(日)「しんぶん赤旗」
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イラク戦争が米国の軍事的勝利に終わった今も「イラクから最後の米兵が去るまで」と抗議行動を続けるドイツ市民がいます。ベルリンの米大使館近くのウンターデンリンデン通りで平和キャンプを続ける人たちです。(ベルリンで片岡正明 写真も)
ウンターデンリンデンの平和キャンプ前では「平和のためのあなたの行動は貢献できる」「共存をするのか、テロ・戦争をするのか」「米国の指導者は過去から学ばなかったのか」など、さまざまなメッセージが書かれた横断幕や、子ども向けに段ボールの上に張られた平和を訴えるマンガなどが展示されています。足を止める高校生たちに話しかける平和キャンプ参加者。すでに平和キャンプで寝泊まりして平和を訴える活動は約三十日を数えました。
イラク空爆が始まった三月二十日夜、イェルグ・テーデさん(35)たちは「大変なことが起こった。何かをしなければ」という気持ちで米大使館前の抗議行動に参加しました。そのまま七人が徹夜で抗議し、平和キャンプが始まりました。
歩道の上で平和メッセージを広げ、道行く人に訴える活動です。テーデさんは「多くの人が戦争で殺されている。イラク市民にも普通の生活はあったはずだ」と語りました。参加者の一人、マルセルさん(20)は「ここを通る人たちに訴えると、戦争は仕方がないという人もいる。戦争がなぜいけないか論議をし、わかってもらったときはうれしい」と話しました。
七人で始まった平和キャンプは新聞やテレビの報道を見て新たに参加を希望する市民も多く、多いときには日に六十人が平和キャンプに加わりました。参加者は小学生から六十すぎのお年寄りまで、毎日、顔ぶれが変わります。高校生や会社員も授業や仕事のない日に参加しています。
三月には夜は氷点下一二度にもなりましたが、ベルリン市民に支えられ乗り切ってきました。近くのカフェがトイレや食器を貸してくれたり、パン、ジャガイモを差し入れてくれる市民も相次ぎました。市当局の規制でキャンプでの煮炊き用の火が使えなくなると、近くに住む芸術家がアパートの台所を提供してくれました。
テーデさんは「今また、米国はシリアに戦争の脅しをかけている。最後の米兵がイラクから去るまではやめられない」と決意を語りました。