2003年4月24日(木)「しんぶん赤旗」
【アンマン22日岡崎衆史】投下後、約二百の子爆弾が周囲にばらまかれ、多数の民間人を殺傷するクラスター爆弾(集束爆弾)―。イラク戦争で米軍が使用した同爆弾は、子爆弾が不発弾として地面や木の枝の上などに残り、二次被害が増えており、国連機関や人権団体が早急な対策を求めています。
「クラスター爆弾は非常に危険な兵器である。一刻も早い除去を米英軍に求める」。国連児童基金(ユニセフ)のキール報道官は二十二日、アンマン市内のホテルで本紙に語りました。
「現在のところ、バスラ(イラク南部)の英軍が、除去を開始したとの情報はあるが、米軍については分からない」「投下された子爆弾の10%程度が不発弾となって、遊んでいる子どもたちを殺傷し続けていることを考えてほしい」
クラスター子爆弾による死傷者が増え、病院には、全身傷だらけになったり、手足を切断せざるを得ない子どもが多数入院しています。
バグダッドでは十九日、少女が不発弾となった子爆弾を拾って米兵に手渡した際に爆発。少女は腕にけがをし、米兵四人も負傷しました。十八日にも、イラク人男性一人が死亡、米兵三人が負傷しています。
ロイター通信によると、バグダッド中央小児病院(元のサダム小児病院)のカシム・ラヒ・エサ医師は、「家族は外に出ることを恐れ、(負傷した子どもたちを)病院に連れてこないため、感染症にかかったり手足を切断しなければならない事態が多数発生している」と証言しています。
米国の人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチのロス代表はこのほど、「米国防総省は、精密誘導兵器のみを使用し、民間人に気を配ってきたと誇らしげだ。しかし、民間人の住む周辺をクラスター爆弾で無差別に爆撃したら意味がないではないか」と米軍を批判しました。
その上で、今後の被害拡大を抑えるため、危険を知らせる標識の設置や危険地域への立ち入り禁止措置、不発弾の除去を急ぐよう求めました。