2003年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン23日浜谷浩司】イラク戦争に反対したフランスに対し、ブッシュ米政権が報復を検討しています。逆らうことを許さない米覇権主義の危険性を一段とあらわにしたものです。
パウエル米国務長官は二十二日、米テレビのインタビューで、フランスの戦争反対に関連して「なんらかの影響があるか」との問いに「イエス」と応じました。
ホワイトハウスのフライシャー報道官は二十三日、ブッシュ大統領とフランスの間で「非常に大きな違い」があり「米仏関係は緊張してきた」と発言。国務省のバウチャー報道官も同日、「フランスは米政策に同意しなかっただけでなく、積極的に反対活動をした」と非難しました。
米政権はこれまで対仏関係について、フランスが同盟国であることを指摘し、「意見の違いはあるが、ブッシュ大統領はプロとしてビジネスライクにやろうとしている」(フライシャー報道官、十五日)と、冷静を装ってきました。
しかし、イラク戦争の余勢を駆るタカ派と国防総省が中心となって、米国への反対を許さない強硬姿勢を押し出し、フランスへの報復を狙っていると伝えられます。
複数のメディアによると、米政権が検討している「制裁」は、北大西洋条約機構(NATO)の重要決定を、フランスが参加している理事会から、参加しない防衛計画委員会(DPC)に移すという「村八分方式」。
ブッシュ政権がフランスをうらむのは、フランスが武力行使容認決議に拒否権発動の構えをみせたことから、安保理では米英が準備した決議案が議決できず、米英の対イラク戦争が国連憲章違反となったためです。
【パリ24日浅田信幸】米国がフランスにたいし対イラク戦争に反対したことを理由に「報復措置」を検討していると伝えられる問題で、仏当局は反論を加えつつ、対立を避けて努めて冷静さを保つ姿勢をとっています。
ドビルパン外相は二十三日、訪問先トルコのアンカラで、対仏報復措置がありうるとしたパウエル米国務長官に反論し、「フランスは、国際社会の圧倒的多数とともに、みずからの確信と原則に従い、イラク危機を通じて、国際的合法性を守るために行動してきた。フランスはいかなる状況においても、そうし続ける」と、発言しました。
一方、コペ仏首相報道官は同日、米国による対仏報復措置がとられるとの見方は、「現在の仏米関係の実体にまったく合致していない」と発言、問題を荒立てない政府の姿勢を明らかにしました。