日本共産党

2003年4月26日(土)「しんぶん赤旗」

ブッシュ無法戦争 (23)

威嚇されるシリアで

米国こそ「民主化」が必要


 イラクの西隣のシリア(人口約千六百万人)はアラブの唯一の国連安保理理事国として、イラク戦争に一貫して反対の立場を表明してきました。いま米国によってイラクに次ぐ軍事的威嚇の標的とされています。シリアの人々はイラク戦争と占領、さらに自国の未来をどのように考えているのか、聞きました。(ダマスカスで小泉大介 写真も)


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ダマスカス大学構内で談笑する女子学生たち

 首都中心部にあるダマスカス大学。テラスで語り合うのは、英文学科の一年生たちです。

 「イラクの戦争が始まったあと、私も大学のデモに参加しました。何も悪いことをしていない大勢の子どもたちが死んでいくのが耐えられなかったからです。戦争でなにもかも破壊されたうえに占領されるなんて、こんなに悲しいことがあっていいのでしょうか」

 恥ずかしがりながらもこう話し始めた女子学生のラーマさん(19)。「米国はイラクやシリアが大量破壊兵器を持っていると非難しているけど、米国がイラクでおこなったことこそ大量破壊でしょう。本当におかしいと思う」と続けました。

 男子学生のフラースさん(18)は、「アメリカはフセイン体制を倒すといって戦争を始めたけれど、いまやっていることは米国が代わって支配するということ。それもイラク国民のためではなく、イスラエルを助け石油を獲得するという思惑でです。米国がシリアを脅迫しているのは、シリアがはっきりとイラク戦争を批判してきたことが気に入らないからじゃないかな」と話します。

激しくなる国民の怒り

 「シリアはイラクに軍事支援をおこなっている、米への敵対行為だ」(三月二十六日、ラムズフェルド国防長官)「シリアには化学兵器があると思う」(四月十三日、ブッシュ大統領)−米政権指導部のこうした威嚇の大合唱に、シリア国民の怒りはますます激しくなっています。

 雑誌記者のハデル・タクリツィさん(31)はいいます。

 「イラク戦争は米国の第一目標にすぎない。二番目にシリア、その次はイランを力ずくで押さえつけようという米国の意図は明らかですよ」

 「大量破壊兵器を問題にするならなぜ、核兵器まで保持しているイスラエルのそれは無視するのか。米国がイスラエルを助けるためにシリアを標的にしていることはすべてのシリア人が知っています。世界の反対の声を無視して戦争と占領をおこなう米国は『中東の民主化』をいう前に、自分の政治を民主化するほうが先決です」

中東支配の目的明確だ

 ダマスカス中心部に事務所を構える中東問題専門家で、アラブ系衛星テレビのコメンテーターも務めるナビル・サンマンさんはいいます。

 「国連決議を無視しなんらの合法性ももたないイラク戦争をおこなった米国の目的は明確です。イラクを出発点に中東を支配し、さらには世界中にその軍事的支配を確立しようというものです。イラク戦争は中東の地獄の門を開いただけでなく、世界の地獄の門を開こうとしているのです」


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