2003年4月27日(日)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相と川口順子外相は二十六日、イラク「戦後」の国際情勢をにらみ、相次いで外遊に出発しました。
首相は五月三日まで英国、スペイン、フランス、ドイツ、ギリシャを訪問。ギリシャでは日本・EU(欧州連合)定期首脳協議に出席する予定です。
福田康夫官房長官は二十四日、「イラク問題を中心とした率直な意見交換」を行い、「日・EU定期首脳協議を通じて、国際協調の再構築を図る」ことが首相訪欧の目的だとしています。
また、川口外相は五月三日までヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区、シリアを訪問。外相は二十五日、「イラク戦後の中東地域で将来への不安が広がっている」との認識を示し、(1)中東和平の促進(2)中東の人々の不安・不満の払しょく―を中東歴訪の目的に挙げました。
外務省は、日本政府が米国のイラク戦争を支持したことに対し、「中東諸国の多くは対日友好姿勢を変えていない」としていますが、エジプトやシリアでの反日的な論調やデモに懸念を示しています。
また、政府は、米国のイラク軍事占領機構・ORHA(復興人道支援局)に要員を派遣していますが、中東諸国はイラク人の主権回復を主張し、米国が対決姿勢を強めているシリア、イランでは反米意識が急速に高まっています。
一方、仏独ロなど欧州各国も、国連中心の復興を訴えています。
外務省によると、現在、ORHAに要員を派遣しているのは、日本に加え、英国、豪州、スペイン、デンマークの五カ国だけです。
政府は二十一日、六項目にわたるイラク支援措置を発表。
さらに自衛隊派遣についても「国際社会の動向を注視しながら検討を進める」(竹内行夫外務次官)としています。
首相と外相の外遊は、「国際協調の再構築」という言葉とは裏腹に、米国が継続しようとしているイラク軍事占領に日本が積極的に加担し、自衛隊派兵も検討していることへの国際社会の反応を探る狙いがあるものとみられています。