日本共産党

2003年4月27日(日)「しんぶん赤旗」

先制攻撃は解決策にならず

エルバラダイ IAEA事務局長 が寄稿論文


 【ニューヨーク23日坂口明】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は米紙ワシントン・ポスト二十三日付への寄稿論文で、今世紀の世界平和の重大課題である大量破壊兵器問題は、保有疑惑がある国への先制攻撃ではなく、その違法化・廃絶により解決するべきであると強調しました。

 同事務局長は、ソ連崩壊による「冷戦」終了という「巨大な一歩前進」にもかかわらず、世界はその好機を生かせていないと指摘。核保有五カ国が核廃絶に向けて前進するとの核不拡散条約(NPT)の公約を実行しない一方で、大量破壊兵器を保有するか保有を目指す国が十―十五カ国に達している事実を挙げています。

 論文は、これまで国連がこの問題に対処できていないもとで、「ルールに基づく集団的な国際安全保障体制による大量破壊兵器管理の努力は無駄であり、その保有疑惑のある国への先制攻撃が唯一の代案だと結論づけるべきなのか」と問題提起。「後者に訴えるのではなく前者の改革をするべきだ」と述べています。

 それには、中東紛争など、大量破壊兵器が必要だと各国に思わせる背景となっている問題に対処するべきであり、「兵器拡散問題は全般的な解決策の一部だ」として位置付けるべきだと提言しています。

 エルバラダイ氏は、「ある国が核兵器を保有すると、他の諸国に核を保有したいと思わせる一貫した刺激剤となる」との核廃絶キャンベラ委員会の報告を引用。「大量破壊兵器を違法化することにより、この(核保有国と非核国という)非対称の廃絶を目指し、すべての国を包含する新たな国際安全保障のビジョンを」つくろうと訴えています。


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