2003年5月1日(木)「しんぶん赤旗」
自民・公明が強行した、健康保険本人などの医療費三割負担が実施されて一カ月になります。愛知県保険医協会がおこなった、患者アンケート(四月三十日現在、回答総数千七通)では、68%が、今後「受診の回数を減らす」「薬や検査を減らしてもらう」「売薬ですます」など、受診抑制の意思表示をしており(グラフ)、87%が実施後もなお三割負担に反対していることがわかりました。
「自由意見」には、「四月に入りかぜで四〜五千円(一日)かかった。三割負担は非常に重い。保険料も増え生活費をきりちぢめるしかない」「二割から三割へは実際は50%以上の負担増です。ボーナスからも(保険料を)とられます。医療は命綱です」「私は定期的には三カ所へ月一回いっているため、五千六百円程度の負担が一万円をこえた」など。不況下の暮らしに負担増がずっしりのしかかっています。
同調査は県下約三百の医療機関で、受診した患者に手渡しでアンケートはがきを配布・回収したもの。対象は健康保険本人と、健保負担増と足並みをそろえて二割から三割負担となった名古屋市国保の世帯主です。
四月に通院した患者が対象であるため、受診そのものを中止した患者の数は反映されておらず、実際の影響はさらに大きいとみられます。
愛知県保険医協会 堀尾仁理事長の話 アンケートの結果は多くの人が受診抑制の意思表示をするなど深刻な内容です。九七年に健康保険本人負担が一割から二割に引き上げられた影響もまだ回復していません。昨年十月に負担増となった高齢者は、医療費を心配する本人の申し出により治療を中断せざるをえないケースも出ています。負担増の反対・凍結を求める世論と運動を無視して強行した小泉首相は、国会答弁で負担増によりムダな受診がなくなるかのようにいいました。しかし、実際は必要な人が医療を受けられなくなり、お金のあるなしで受診の平等性が左右されつつあることは問題です。国会では四野党が「二割引き下げ法案」を提出しましたが、私たちも引き下げを求めて運動をしていきたい。