日本共産党

2003年5月2日(金)「しんぶん赤旗」

6日から政治資金で与党協議会

公共事業受注企業の献金

「規制」どころか温存へ


 自民、公明、保守新の与党三党は連休明けの六日、「政治資金問題などに関する協議会」(座長・小里貞利自民党政治制度改革本部長)を発足させます。議論の対象となる自民党政治制度改革本部案は、(1)公共事業の総売り上げの50%を超える企業・団体からの同一政党支部への寄付を年間百五十万円に制限する(2)献金の公開基準を現行の年間五万円から年間三十万円超に引き上げる―という内容。政治献金の規制どころか、企業献金拡大につながる規制緩和策といってもいい内容です。

議論そのものたなざらしに

 公共事業の“口利き”で利権をむさぼっていた加藤紘一元自民党幹事長や鈴木宗男衆院議員らの疑惑が大問題になった昨年三月末、小泉純一郎首相は、公共事業受注企業からの献金規制について、自民党に検討を指示せざるをえなくなりました。

 それから一年余。自民党から出てきた案は、公共事業受注企業からの規制となる内容はどこにもありません。政治制度改革本部案は、一つの政党支部への献金を百五十万円まで制限するだけなので、いくつもの政党支部に分散させれば、献金を減らすどころか、増やすことも可能だからです。

 自民党は、公共事業受注企業からの献金を制限するのではなく、いかに温存させるかに腐心してきたのです。小泉首相の「指示」が出たときも、党内からは「すべての企業献金の禁止につながる」(町村信孝総務局長)などと反対論が続出しました。

 昨年七月には、自民党の「政治資金に関する有識者懇談会」が、公共事業受注割合が五割を超える企業の献金の上限額(現行七百五十万円から一億円)を「半減」する提言を発表。二〇〇一年政治資金収支報告書でみても、規制を受けるゼネコンが一つもないなど、何ら歯止めにならない内容でしたが、これさえ自民党は実行しなかったのです。

 「指示」を出した小泉首相もその後、議論そのものをたなざらしにしてきました。

 公明党も、今年一月の自民党長崎県連の違法献金事件のときには、神崎武法代表が「公共工事受注業者からの献金の制限」(一月二十日)を主張し、国会でも日笠勝之政調会長代理が公共事業受注企業からの政治献金見直しで「首相のリーダーシップ」を求めていました(一月二十二日参院本会議)。

「掌握難しい」公明党も後退

 ところが、自民党から政党支部への献金上限を百五十万円とする「量的規制」案が提案されると、公共事業受注企業からの献金制限の主張は後退。自民党案について「公共事業受注企業の掌握が技術的に難しい」(公明新聞四月十八日付)と、自民党案に同調する意見も公然とでてきました。

企業献金の公開基準を引き上げ

 自民党案で重大なのは、政党支部への献金上限案と抱き合わせで、企業・団体献金の公開基準を引き上げようとしていることです。

 小泉首相が「五万円以上献金したいけど、名前が出るからイヤだという人は結構いる」(三月二十九日)というように、公開基準引き上げは、企業・団体献金の拡大が狙いです。国民の監視の目が届かないようにする「ヤミ献金」策であり、「裏金」合法化にもなりかねません。

 金権腐敗の根源である企業・団体献金を国民の目の届かないヤミのなかに隠してしまえば、いっそう政治とカネをめぐる腐敗事件が続出することは避けられません。

 いま求められているのは、日本共産党など四野党が国会に共同提出している公共事業受注企業からの献金禁止法案を一刻も早く成立させることです。


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