2003年5月3日(土)「しんぶん赤旗」
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茨城県神栖町内の井戸水から旧日本軍の毒ガス成分が検出された問題で、日本共産党の大森猛、塩川鉄也、藤木洋子の各衆院議員は二日、同町で現地調査を進めました。町役場で岡野敬四郎町長から説明を受け、被害現場では住民から直接事情を聞きました。
同町では、井戸水を飲んだ町民が手足のふるえ、呼吸困難などの症状を訴えたことから、水質検査をおこないました。その結果、環境基準の四百五十倍ものヒ素が検出されました。さらに詳しい検査で有機ヒ素化合物を検出。旧日本軍が用いたジフェニルシアノアルシンの分解物で、毒ガス兵器との関係も疑われています。
有機ヒ素化合物が検出された井戸は、いずれも戦時中、内閣中央航空研究所鹿島実験場があった区域で、その北側には海軍航空隊の神ノ池(ごうのいけ)基地がありました。
また、同地域では戦後、砂利がひろく採取されていることから、埋め戻しの際の埋立物が原因との見方もあります。
岡野町長は、一日も早い原因の究明と関係者への補償の必要性を強調。二日からは、高濃度のヒ素が検出された井戸から二キロの範囲で、すべての井戸の検査を始めているとのべました。
環境基準の四百五十倍のヒ素が検出された井戸水を飲んでいた主婦(39)は「ものが二重に見え、ろれつが回らなくなり、歩行困難におちいり、入退院をくりかえした」と証言。上水道に切りかえ、症状は改善されたものの「水恐怖症」になっていると語りました。
同じ井戸を利用していた主婦(26)の場合、二人の子どもに症状が出て、一歳半の下の子は原因不明の脳性まひになりました。「国、県、町の対応は遅い。もっと住民の声を聞き、行政が力を合わせて解決してほしい」と訴えました。
今回の調査には、山中泰子茨城県議、関口正司神栖町議が参加しました。