2003年5月4日(日)「しんぶん赤旗」
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文部科学省の協力者会議が学校施設の耐震化を推進するための報告書をまとめたことを受けて、同省は、二十三日の京都市を最初に六月上旬までに、仙台市、東京、名古屋市、福岡市の全国五カ所で市町村にたいして耐震化事業についての説明会を開きます。都道府県への説明会は十二日、東京で開かれます。
協力者会議の報告は、耐震診断がすすまない現状を打開するために、危険校舎を早急に割りだし、危険度の高いものから優先的に改築や耐震補強をするよう求めています。
耐震化の推進策として、(1)あらたに、簡易な「耐震化優先度調査」を実施して耐震診断をする対象校舎の優先度をはかる(2)耐震診断にもとづいて倒壊または大破するおそれのある危険度の高いものから優先的に耐震化事業をおこなう(3)自治体による事業推進の計画を策定し、国は必要な財政措置を講じる−などを提案しています。「優先度調査」は、築年数や階数、コンクリート強度などにより、耐震診断の優先度を五段階に分類。優先度に応じて耐震診断を実施し、耐震化事業の緊急度を七ランクに分けます。
小中学校耐震化の事業量はばく大。総事業費は数兆円にのぼると見られます。「優先度」が判明したとしても、その先の事業費の保障はなく、国の責任が問われます。
学校施設の耐震化については日本共産党は、耐震化事業への国の補助率の引き上げとともに、現状調査を求めてきました。
二〇〇一年三月二十八日、日本共産党の大沢辰美参院議員が災害対策特別委員会で、耐震改修がすすまない要因として国庫補助率が低いという問題があることを指摘しました。特に校舎・体育館などの耐震化の現状さえ把握していない実情を指摘し、自治体まかせの文部科学省の姿勢を批判。耐震化の推進を求めました。
その後、消防庁は昨年三月、耐震性がないと推定され、未改修となっている公立小中高校の校舎・体育館は約七万棟にのぼることを明らかにしました。
日本共産党の八議員(井上美代、大沢辰美、富樫練三、西山登紀子、畑野君枝、八田ひろ子、林紀子、宮本岳志各参院議員)は同年六月、質問主意書を提出。約七万棟の耐震性の確保をどうすすめるかただしました。
内閣府もことし一月、小中学校など約十五万千六百棟のうち54%が「耐震性に疑問」があると報告しています。
日本共産党は(1)耐震診断は国庫負担などで早急に実施する(2)「学校耐震化年次計画」を自治体の優先課題として策定する(3)耐震化工事への国庫補助率をアップする−などを提案しています。