2003年5月4日(日)「しんぶん赤旗」
憲法九条の大切さを訴えていきたい−−。三日、東京・日比谷公会堂で開かれた5・3憲法集会。参加した若者は、日本を戦争のできる国にしようとする有事法制への危機感や、憲法を伝えて平和の声を広げたいとの思いを口々に語りました。
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いっぱいに埋まった会場の二階席。「政権担当者は日本を戦争のできる国にしようとしている。国民の声はどこに届いているのか」と話すのは、設計事務所で働く栗林豊さん(28)。祖父が治安維持法で逮捕され、命がけで戦争に反対していたのを知って、大学の法学部で憲法九条を学びました。「明文で戦争や軍備を完全に否定している憲法を失ったら、日本だけではなく、将来生まれてくる子どもたちから大切なものを奪うことになる。一人ひとりが平和の意思を持って声をあげることから始めないと」。メールで平和の呼びかけを発信しています。
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同級生と座っていた東大の女子学生(18)=東京・三鷹市=は、憲法集会には初参加。「戦争の愚かさを学んだ日本は、九条を前に出して世界に平和を訴えるべきだ。日本は経済力があり発言力もある。有事法制や戦争反対の声をあげよう、との働きかけがもっと必要だと思う」と話しました。
屋外に設けられた縦三・二、横二・四四メートルの車載モニター前にも多くの人が集まりました。今春から医師団体で働く橋本光陽さん(22)は、大学で障害者福祉や人権などを勉強し「憲法の基本的人権、生存権を本当に守りたい」と思いました。かばんに「九条バッジ」をつけてアピールもしています。「テレビは有事法制の中身も伝えない。バッジを見て憲法のことを考えてくれる人がいれば」
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集会後の銀座パレード。「高く掲げよう憲法」「戦争法、有事法制いらない」などのプラカードが続きます。ほうきに「戦争放棄」と書いたボードを下げた西東京市の保健師(32)は「自分の国が戦争する国になっちゃうなんてとてもイヤ。自分自身も戦争に動員される対象です。同世代にもっと危機感を持ってほしいし、母親に平和の訴えが広がればいい、と思います」と話しました。