2003年5月5日(月)「しんぶん赤旗」
国会は連休明けから、有事法案の審議の進め方をめぐり与野党の折衝が緊迫するとともに、労働基準法改悪案の審議がいよいよ始まります。個人情報保護法案は、論戦の舞台が参院に移ります。
衆院有事法制特別委員会は六日、民主、自由両党がそれぞれ提出した有事法案への対案について、趣旨説明を行います。
民主党案は、有事の際の基本的人権の尊重を定めたという独自の「緊急事態対処基本法案」と、武力攻撃が「予測」される段階から有事法制が発動する政府案を基本的に踏襲した「修正案」からなっています。自由党の対案は、国連決議に基づく軍事行動に日本が参加するとしたものです。
与党側は、六月十八日に会期末を控え、五月中旬にも衆院通過を図る構えを崩さず、八日に参考人質疑を行うよう主張しています。
労働法制の改悪案は重大な局面を迎えます。六日の衆院本会議では、小泉純一郎首相出席のもと、労働基準法改悪案の趣旨説明と質疑が行われます。同改悪案は、使用者による「解雇の自由」を原則とし、事実上サービス残業を“合法化”する裁量労働制の拡大や、有期雇用契約の上限引き上げが盛り込まれています。
七日には、衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法・職業安定法改悪案の趣旨説明が行われ、与党側が質疑を行います。同案は、製造業や福祉・医療現場にも派遣労働を導入するもので、不安定雇用のいっそうの拡大になりかねません。
個人情報保護法案は、六日の衆院本会議で採決され、参院に送付される見込みです。参院では、審議の場として特別委員会が設置される方向で、与党側は、今週中の審議入りを狙っています。
暴力団関係者との癒着が明らかとなっている松浪健四郎衆院議員(保守新党)の問題では、松浪氏が衆院政治倫理審査会での弁明を申し出たことから、同審査会幹事会が松浪氏の申し出を協議する見込みです。同審査会は七日に幹事の選任を行います。野党側は、松浪氏の議員辞職勧告決議案を提出しており、辞職を拒否している松浪氏を参考人として予算委員会に招致すべきだと主張しています。
大学法人化法案をめぐっては、七日に衆院文部科学委員会が参考人質疑を行います。
衆院青少年対策特別委員会は、七日に「出会い系サイト規制法案」の質疑を行い、八日に参考人質疑を行う予定です。同案は、インターネットによる異性紹介事業を利用しての「児童買春」を禁止するものですが、被害者である児童をも罰する法案であるとして問題を指摘する声もあがっています。
都市基盤整備公団を廃止し、公共住宅政策からの撤退をいっそうすすめる独立行政法人都市再生機構法案は、七日の衆院国土交通委員会で質疑を行います。