2003年5月5日(月)「しんぶん赤旗」
【ワシントン3日浜谷浩司】軍事優先のブッシュ政権のもとで、軍事産業の企業トップは収入を大きく増やし「不況知らず」であることが、民間団体の調査で明らかになりました。イラク戦争で実行に移された米国の先制攻撃戦略の影に、政・軍・産の「鉄の三角形」の結合と、軍事産業のもうけの肥大化がみえています。
ボストンの民間団体「公正経済のための連合」は四月二十八日、軍事産業の実態を分析した報告書を発表。それによると、二〇〇二年度に米企業の最高経営責任者(CEO)に支払われた報酬は、全産業平均で三百七十万ドルに対して、軍事産業(トップ三十七社)では五百四十万ドル。前年度比でみると、全産業平均の6%増に対して、軍事産業では79%増と急激な伸びを示しました。
経営者の報酬の顕著な伸びは、軍事費の伸びと密接に結びついています。軍事費は、〇二年度に前年度比14%の伸びを示しました。イラク戦争の戦費が含まれる〇三年度は、伸び率が30%にもなります。軍事企業経営者らの笑いが聞こえるかのようです。
報告はさらに、軍事企業の契約高と政治献金額とのあいだに「強い相関関係がある」と指摘しています。軍事企業トップのロッキード・マーティン社は、国防総省との契約高が四百七十二億ドル(二〇〇〇―〇二年度)、政治献金は四百十七万ドルにのぼり、いずれもトップを占めています。ボーイング、ゼネラル・ダイナミックス、ノースロップ・グラマンなどの各社が続きます。
一方、米政府がイラク「復興」事業を発注した建設大手のベクテル社は、同事業の入札に招かれた建設六社の中で、政治献金額がトップ。一九九九―二〇〇二年に百三十万ドルの政治献金を行い、うち共和党が59%を占めています。
ブッシュ米大統領は四月十六日、ボーイング社のセントルイス工場(ミズーリ州)を訪れ、同工場で製造されるF18ホーネットを脇にして演説。「米国の軍事的成功はここ、この工場から始まっている」と声をあげました。
イラク戦争では、米軍の精密誘導兵器がその能力を「実証」。世界各国の政府・軍にこれらの兵器の購入を促す大きな「機会」となりました。バグダッド市内への空爆を生中継した米国のテレビ各局の映像は、軍事産業にとって大きな宣伝効果をあげたはずだ、との指摘も出ています。