2003年5月7日(水)「しんぶん赤旗」
|
テロ対策特別措置法にもとづいてインド洋で米英軍などの艦船に給油をおこなっている海上自衛隊艦船が、イラク戦争に参加していた米空母キティホーク機動部隊に、燃料の提供を行っていたことが明らかになりました。六日、米海軍横須賀基地(神奈川県)に帰港した空母キティホークのパーカー艦長が記者会見で言明しました。
イラク戦争に参加したキティホーク機動部隊は、同空母をはじめミサイル巡洋艦カウペンス、ミサイル駆逐艦ジョン・S・マッケイン、ミサイルフリゲート艦ゲアリー、同バンデグリフトの五隻です。この日、同基地にはキティホーク、カウペンス、ジョン・S・マッケインが帰港。
パーカー艦長は「われわれは、(海上自衛隊から直接)給油を受けなかった」としつつ、「われわれの給油艦を経由して、海上自衛隊から燃料が移送された。われわれは確かに、約八十万ガロンのディーゼル燃料を受け取った。日本政府の支援に感謝している」とのべ、海上自衛隊艦船が米軍の給油艦に燃料を給油し、その燃料を米軍の給油艦から受け取っていたことを明らかにしました。
また、いまも現地にとどまり、他の空母の護衛任務についているゲアリー、バンデグリフトは、オマーン湾で海上自衛隊艦船から直接、給油を受けたことも明らかにしました。
配布資料によると、イラク戦争でのキティホーク艦載機の出撃回数は五千回以上にのぼりました。また、パーカー艦長とともに会見した、キティホーク所属の第五空母群のモフィット司令官は、「非人道兵器」と国際的に批判が高まっているクラスター爆弾を同艦載機が使用したことを認めました。
さらに、多数のイラク市民を殺傷した巡航ミサイル・トマホークによる攻撃について、カウペンス、ジョン・S・マッケインが計七十発を発射したことを明らかにしました。
海上自衛隊艦船は、これらの艦船に燃料を提供したことになります。この問題について福田康夫官房長官は六日の記者会見で、「よく確認したい」とのべ、政府として調査する考えを示しました。
日本共産党・小泉親司参院議員の話 無法な先制攻撃のイラク戦争に対し、日本の海上自衛隊が実質的支援をしていたことを、米側が認めたもので、きわめて重大です。
インド洋展開の海上自衛隊が米補給艦に給油した油が、テロ特別措置法からも逸脱し、イラクに対する作戦に従事する艦船に渡っている疑惑について、私は国会で繰り返し追及してきました。これに対し、石破茂防衛庁長官は、政府として確認もしていないのに“アフガンの作戦にだけ使われているはずだ。米国を信じている”の一点張りでした。
しかし、それは国民をだますものでしかなかったわけです。憲法違反であるばかりか、テロ特措法にも反する海上自衛隊のインド洋での給油作戦は即刻中止し、撤退すべきです。
有事法制は、こうした米国の無法な戦争支援を公然とやろうというものです。絶対に許すわけにはいきません。
イラク戦争に参戦していた米空母キティホーク(八三、九六〇トン)が神奈川県の米海軍横須賀基地に入港した六日、米空母横須賀母港に反対する会(現地本部)、横須賀市民の市長をつくる会、安保廃棄県統一促進会議、県平和委員会、県原水協など県内の平和・民主団体は浦賀水道を見下ろす同市の中央公園で抗議行動をおこない、約三十人が参加。横須賀基地にも出向き、抗議文を手渡しました。
日本共産党の畑野君枝参院議員、藤田智栄子(同市選出)、三輪智恵美(横浜市港南区選出)両県議、根岸加寿子横須賀市議もかけつけました。
参加者は、基地に入港する空母に向かって、「キティホークは出ていけ」「カールビンソンは来るな」「原子力空母の母港化反対」と怒りのこぶしを突きあげました。
同市岩戸に住む新日本婦人の会横須賀支部の今野利子さん(73)は「戦中派で空爆の恐ろしさを知っていますから、人間のいのちを無残につぶしてしまう戦争は許せません。空母の母港を抱え、いつまでもこんな状態を続けさせてはなりません」と力を込めました。