2003年5月7日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 生保会社の破たんに備えた税金投入の仕組みが延長されると聞きましたが、どういうものですか。(山口・一読者)
〈答え〉 二〇〇三年度から二〇〇五年度までの生命保険会社の破たん処理に備え、四千億円の公的資金枠を延長するなどの保険業法改悪案が、今年四月に成立しました。
いま、生保破たんで契約者に補償されるのは、保険料などから積み立てる責任準備金の90%までにすぎません。契約が引き継がれても予定利率引き下げなどで当初契約より大幅減額となり、保険金が七、八割減の例もあります。途中解約すれば早期解約控除による減額があり、新規契約は前よりも条件が悪くなるなど、契約者は二重三重に不利な立場に置かれています。
今回の法改悪は、こうした契約者への犠牲おしつけの制度には手をつけず、保険業界の責任で行うべき破たん処理や「契約者保護」への税金投入枠を続けるものです。保険相互会社の株式会社化を円滑化するなど、競争をあおる規制緩和も盛り込まれ、契約者軽視が激化しかねません。これらのため、日本共産党は同法案に反対しました。
四千億円の公的資金枠は、二〇〇〇年の保険業法改悪で設けられました。「生命保険契約者保護機構」の四千六百億円の限度額(生保業界の負担金十年分に相当)では大規模破たんにまにあわなくなったため、〇三年三月までに発生する破たんにたいし、生保業界は一千億円までを追加負担し、それで対応できない部分は国が四千億円まで補助するものでした。
このときの税金投入は回避されましたが、同様の枠組みを、〇三年度から〇五年度までの破たんにも適用することになります。生保業界の追加負担一千億円は「前回並み」とされていますが、前回の業界負担分の使い残しが二百億円ほどあり、機構が破たん処理に注入した資金も報道では四百億円前後がもどる見通しで、実質負担は前回より大幅減といえます。
(博)
〔2003・5・7(水)〕