2003年5月9日(金)「しんぶん赤旗」
陸上自衛隊西部方面隊飯塚駐屯地の不正経理が問題になっていますが、自衛隊福岡病院(福岡県春日市)でも毎年二月から三月にかけて通常はありえない名目の「出張」がひんぱんに行われていることが本紙の調べでわかりました。カラ出張の疑いがあるだけに、これについても厳正な調査が求められます。
本紙が入手した「旅費概算請求書」(一九九八〜二〇〇〇年)などによると、同病院では、飯塚駐屯地と同様に年度末の二月十五日から三月末の「運用統制期間」に「出張」が集中していました。
出張先は、埼玉・所沢市にある防衛医科大学校(防衛医大)を中心に、世田谷区の中央病院、兵庫・川西市の阪神病院などの各自衛隊病院。中には国公立や民間の大学病院の名前もありました。
出張名目は「医官募集」をはじめ、「施設管理業務調整」「施設管理調査」「病院研修」「業務研修」など。出張は一泊二日ないし二泊三日が多く、費用は四、五万円台〜六、七万円台が大部分でした。JRや私鉄利用が多く、航空機の利用もありました。
九八年二月から三月にかけては、福岡病院から所沢の防衛医大に計五人が出張しており、うち三人は「医官募集」名目でした。二〇〇〇年二月から三月は世田谷区の中央病院に四人が出張。多くが「研修」でした。
しかし、「医官募集」のために福岡病院から防衛医大など自衛隊病院に出張することはありえず、カラ出張のための名目づくりの可能性が強い―と同病院関係者は指摘します。
防衛庁も「防衛医科大学校の卒業生は本庁人事部の管轄で、方面隊や駐屯地が直接、学生を募集することはない」と説明。さらに、「医師が欠員したために民間から医師資格者を募集することもないわけではないが、基本的にはしていない。医官募集する際には公募で試験を実施して採用している」と明言します。また、「各地の自衛隊病院は、自衛官やその家族を診療する『職域病院』であり、民間との技術交流はないし、出張診療も行っていない」としています。