2003年5月9日(金)「しんぶん赤旗」
防衛庁旧調達実施本部(調本)の装備品納入をめぐり、背任や加重収賄などの罪に問われた元調本副本部長上野憲一被告(63)の判決公判が八日、東京地裁で開かれ、木口信之裁判長は「主導的役割を果たしており、調達業務への信用を大きく失墜させた」として、懲役四年、追徴金八百三十八万五千円(求刑懲役六年、追徴金八百三十八万五千円)を言い渡しました。同事件では、上野被告以外の十三人が起訴事実を認め、有罪がすでに確定。実刑判決は初めてで、同被告は控訴する方針。
木口裁判長は判決で、背任罪の成立について「任務に背いたという認識があったのは明らかで、自己の保身を図る目的などから極秘に犯行に及び、国に損害を与えた」と認定しました。
収賄に関しても「便宜を図ったことにつけ込み、現金三百万円や顧問料名目の多額のわいろを収受した犯行は誠に悪質」と指弾しました。
上野被告は公判で「検察側はありもしない収賄や退職後の再就職を背任行為と結び付けて事実をわい曲した」と無罪を主張していました。
判決によると、上野被告は元防衛施設庁長官諸冨増夫被告(63)=有罪確定=らと共謀。一九九四年六月から九五年六月にかけ、NEC関連の電気機器メーカー「東洋通信機」など二社に対する装備品の水増し代金の返還額を計三十五億円余に減額して国に損害を与えました。また、見返りとして、九四年九月に東洋通信機から現金三百万円を、九五年七月から九七年十二月までの間には、別のNEC関連会社から計約五百三十八万円余を受け取りました。