2003年5月10日(土)「しんぶん赤旗」
米国の先制攻撃の戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、日本国民を強制動員する有事法制関連三法案をめぐって緊迫した情勢がつづくなか、衆院有事法制特別委員会では九日、各党の一般質疑が行われました。このなかで政府は、海外に展開する自衛隊が攻撃を受ければ、有事法制が発動される「武力攻撃事態」と認定し、武力行使できることを認めるとともに、米軍と共同作戦を行うことも可能との見解を示しました。民主党の筒井信隆議員の質問に答えたもの。
福田康夫官房長官は、ペルシャ湾、インド洋など海外に展開している自衛隊が組織的・計画的な武力攻撃を受ければ「『武力攻撃事態』という認定はありうる」と答弁。また、石破茂防衛庁長官は、それが日本の領域への武力攻撃に発展しない場合でも、「武力攻撃事態」と認定することを否定しませんでした。筒井氏は「専守防衛の原則に真っ向から反する」と批判しました。
福田長官は、海外に展開する自衛隊への武力攻撃が発生した場合、「米軍がわが国の要請、同意にもとづいて集団的自衛権を行使し、当該武力攻撃を排除するために必要な行動をとることは排除されない」と答弁。日米共同作戦が可能となる考えを示しました。
日本共産党の木島日出夫議員は民主党の修正案について質問。このなかで同修正案でも、海外で米軍支援のために活動している自衛隊が攻撃されれば、武力行使するという問題に歯止めがかかっていないと指摘しました。
全国革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)は九日夕、仕事帰りのサラリーマンや学生らが行き交う東京・JR御茶ノ水駅前で、有事法案の廃案を訴えて宣伝しました。全国労働組合総連合顧問の小林洋二さん、新日本婦人の会事務局長の玉田恵さん、元愛知県労働組合評議会議長の成瀬昇さん、一橋大学名誉教授の浜林正夫さん、日本民主青年同盟委員長の姫井二郎さん、元京都総評事務局長の谷内口浩二さんの六氏が、「アメリカの無法な戦争に日本が手を貸す有事法案はきっぱり廃案に」「世界の紛争解決は国連中心で」などと訴えました。