2003年5月10日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン9日遠藤誠二】イラクを軍事侵攻した米英両国とスペインは九日、国連安保理の非公式会合で、イラクへの経済制裁を解除し、石油収入を活用した米英によるイラク支配を正当化する決議案を提示しました。
ロシアやフランスなど侵攻に反対した理事国などから反発を招くのは必至です。
米国が非公式に配布した決議案は▽米英が国際法の下でイラクを占領する国として負う権限を認める▽軍事物資以外のすべての経済制裁を解除する▽国連や国際通貨基金(IMF)などからなる国際諮問機関が監督する「イラク支援基金」を設立し、同基金の支払い管理は英米の指示に基づく▽米英の援助で設立される暫定統治機構を支持する▽米英のイラク統治を向こう一年間承認し、新たな決定がない場合は継続する─などを柱としています。
国連の役割は事実上、人道支援に限定しています。
イラクへの経済制裁について定めた安保理決議六八七(一九九一年)は、国連査察官による大量破壊兵器廃棄の確認を制裁解除の条件にしていますが、今回の決議案には大量破壊兵器の査察に関する規定はありません。
決議案をめぐる国連安保理の協議は十二日から本格的に始まる予定。米国は、経済制裁の一環として続けられる「石油食料交換計画」の期限切れの六月三日までの採択を目指しています。