2003年5月10日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ8日小玉純一】米英の退役軍人反戦グループなどのプロジェクト「エレクトロニック・イラク」のホームページは五日、バグダッドの学校が米軍に占拠されているというバグダッド市民の告発文(三日付)を掲載しました。
米軍が占拠しているのはバグダッド・カレッジ・ハイスクール。七十年前にイエズス会が設立し、七年生から十二年生の生徒千七百五十人が学んでいました。
告発文は、米軍が学校内に戦車を入れ軍事キャンプにしただけでなく、図書室や実験室を破壊したとしています。
そして「私たちは子どもたちを連れて学校に行き、米軍に占拠終了を要求します。学校を生徒とジャーナリストに開放することも要求します。そうすれば学校の破壊が心無き破壊者のしわざか、それとも米軍によるものか、世界の人が判断できるでしょう」と主張。続けて「アメリカは、学校を軍事基地に使っているとフセイン体制を非難していたのに、一転してそれとまったく同じことをいま自分たち自身がやっている。これが民主主義なのでしょうか」と結んでいます。
米軍の学校占拠は、バグダッド西五十キロのファルジャでも四月末住民から抗議を受け、米軍は抗議のデモ隊に発砲し十六人が死亡しました。ここでは米軍はその後撤退しました。
また英字週刊誌『ミドル・イースト・タイム』(五月最新号)によると、イスラム教シーア派聖地のナジャフでは、米軍が支持する暫定市長の治安部隊が武器の捜索を理由に、少なくとも四つの宗教学校に無断で侵入。信徒の強い反感をかっています。
シーア派の有力組織の指導者サドル氏は四月三十日、抗議声明を発表しました。声明は「フセイン体制でさえ宗教学校の聖なる場所を汚すことはなかった。それは邪悪な西側の利益にのみ奉仕する」と述べています。
現地からの報道によれば、バグダッドで学校が再開した三日、米占領軍はラジオ放送をつうじ、「フセイン残党が攻撃する恐れがあるので子どもを米軍車両に近づけないように」とか、「不発弾の可能性があるので見知らぬ物体に触れないように」などの警告を行いました。
子どもの安全のため学校に通わせない親も少なくないといいます。イラクの子どもを危険にさらしているのはだれなのか問われています。