2003年5月11日(日)「しんぶん赤旗」
【ワシントン支局10日】米上院軍事委員会は九日、一九九三年以来の小型核兵器開発禁止の解除を含む二〇〇四年会計年度(〇三年十月−〇四年九月)国防総省予算案を可決したと発表しました。核開発禁止解除は、ブッシュ政権の核攻撃を含む先制攻撃戦略の具体化を図る重大な決定です。
米国で開発・研究が禁じられてきたのは、広島型原爆の三分の一以下の爆発力五キロトン以下の小型核兵器です。しかし、爆発力が相対的に小さく周辺への人的被害を拡大せずに地中に貫通して地下施設を破壊できる同兵器の開発再開を目指す圧力が、国防総省や核研究開発機関を中心に強まっていました。
上院委の決定は、これに呼応したもの。地下貫通型核兵器の研究開発費として千五百万ドル(約十八億円)の計上を認めています。野党・民主党からは核不拡散に反するとして反対の声が出ています。
可決された軍事予算案の総額は、ブッシュ大統領の要求額を十三億ドルも上回る四千五億ドル(約四十七兆円)。昨年の支出権限額の4・7%増となります。下院軍事委で同様の予算案が採択された後に上下両院本会議で採択されれば、大統領が承認する手順です。