日本共産党

2003年5月11日(日)「しんぶん赤旗」

「人権」明記に反対する公明党の人権感覚

有事法案


 有事法案の「修正」協議で、民主党が要求する「基本的人権の保障」明記に公明党が強く反対しています。政府案の人権条項は“公明党の主張で盛り込まれた”もので、「民主党に言われて変えるとは、どういうことか」(冬柴鉄三幹事長)「修正されたらメンツが立たない」(幹部)というわけです。

 有事法案の人権条項とは「武力攻撃事態への対処においては、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は…」というもので、国民の「自由と権利」の制限を明記した条項です。

 昨年四月の与党「国家緊急事態法制整備協議会」に示された当初の要綱案では「国民の自由と権利が尊重され、これに制限が加えられる場合においては」となっていましたが、公明党が「明快でない」と注文をつけ、「尊重されなければならず」と直されました。

 しかし、この条項の主眼が「武力攻撃事態」において「国民の自由と権利」に「制限が加えられる」ことにあるのは明白。尊重義務をうたったところで、日本国憲法が保障する基本的人権をなんの例示もなしに包括的に制限する違憲立法には変わりありません。

 公明党は、その違憲立法を推進したうえ、国民の自由と権利を包括的に制限する本質をなんら変えない「変更」を“手柄”にしているのです。

 もともと公明党は、昨年の有事法案策定の過程において、人権制限を当然視していました。与党協議会で国民への罰則規定が問題になったとき、冬柴幹事長は「本来持っている権利を、公共の福祉のためにどう利用するかという関係だ。それを罰則をもって強制するとか、担保するということは、法律をつくる以上、無理からぬ部分がある」とのべたこともあります(〇二年三月二十日)。

 民主党が求める「基本的人権の保障」明記というのは、国民の「自由と権利」が制約されることを前提に、その場合でも「必要最小限」とし、思想・良心の自由などは「確保」されなければならないというもの。しかし、それさえ「党のメンツ」をもちだして反対するのですから、公明党の反人権体質をよく示しています。

 (F)


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