2003年5月11日(日)「しんぶん赤旗」
【ロンドン10日西尾正哉】米英などが提出したイラク制裁解除の国連安保理決議案について、英ガーディアン紙十日付社説は「不法な戦争と占領を合法化するもの」と批判しました。
社説は、「決議案は、米英の不法な戦争と無期限の占領を合法化し、イラクでの行動の自由を米英に与える。一方、イラク人が得るものについては不鮮明だ」と指摘しました。
また、「大量破壊兵器問題の重要性にもかかわらず、国連査察の再開に決議案は言及していない」とし、「サダムの査察妨害に何年も不平を述べてきた米国が今度は妨害に回るとは、なんという皮肉で不名誉なことであろうか」と批判しました。これに関して「米英が、情報活動を都合のいいように使い、政治的な目的のために大量破壊兵器を誇張した。さらに何かいま隠している疑いが濃厚になる」と指摘しました。
社説は、「ブレア英首相は依然として多くを説明しなければならない」と述べた上で、「首相が約束した国連のきわめて重要な役割はどこにいったのだ。この点がみえない。ブッシュ大統領にまた従ったのか。そのようにみえる」と批判しました。
インディペンデント紙十日付社説も、ブレア首相がイラク復興での国連の役割を「きわめて重要なものにする」と言明したにもかかわらず、決議案で国連の役割を事実上人道支援に限定し、「首相は約束をほごにした」と批判しました。