2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の市田忠義書記局長は十一日、NHK番組「日曜討論」に出演し、与党が今週にも衆院通過を狙う有事関連法案とイラク問題について発言しました。(発言大要)
市田氏は、有事法案が「日本が攻められたときの備えではなく、イラク戦争のような国連憲章に違反した先制攻撃に、日本が武力をもって協力するため国民を強制的に動員するという『攻めるための備え』の法案」ということが国会審議でも明らかになったと強調。
自民・民主両党の「修正」協議が続いているが、政府の恣意(しい)的な判断で米国の武力紛争に日本が巻き込まれるという民主党の見解(昨年七月)での懸念は払しょくされておらず、法案の危険な本質は変わらないとのべました。
民主党の岡田克也幹事長は「ご指摘の点はわれわれが問題にしている点だが、法律をいじるのではなく国会(審議)のなかで担保が取れればいい」と答えました。
「基本的人権の保障」を法律に明記するかどうかが「修正」協議の焦点になっていることについて市田氏は、「戦争遂行という“公共の福祉”に反すれば、デモや反戦平和の集会も制限されるというのが有事法制の法体系だ」と指摘しました。
イラク問題に議論が移り、市田氏は、米英が占領を一年以上継続し、石油権益の支出の権限を握るというアメリカの新しい国連決議案について、国連の関与が部分的にしか書かれておらず、大量破壊兵器の廃棄について言及していないと批判。
公明党の冬柴鉄三幹事長が、これまで何回も炭疽(たんそ)菌一万gが廃棄されていないと推察されるとのべていたことを指摘し、「そういう立場なら、国連査察を復活するべきだという立場に与党が立たなければ整合性がない」と発言しました。
自民党の山崎拓幹事長がイラクの復興「支援」にあたり「日本の旗を掲げることが大事」と自衛隊派遣を主張した(朝日ニュースター番組)ことに対し、「初めに自衛隊ありきの議論だが、イラク侵略に賛成した日本の自衛隊派遣は、向こう(イラク国民)も望んでいない」と指摘。人道的支援のためにイラクで活動している民間のNGO(非政府組織)などへの協力こそ必要だとのべました。